WEBに携わるあなたに捧ぐ「正しい日本語・間違った日本語」11事例

正しい日本語と間違いやすい日本語

ここ数年で、WEBライターという職業が広く多く求められています。
googleが「記事の質を求める」という方向へシフトしてきている現在、それもまた当然の流れです。
これまでのWEBサイトを一新したり、コンテンツを増やしたりと言ったニーズにより、ライターの存在が重要性を増しているのです。

さて、実際にライティングという作業に取り掛かる際に気を付けたいことがいくつかあります。

特にBtoBのWEBサイトの場合、そのサイトを実際に見、決済する立場にあるキーパーソンは「日本語に厳しい世代」という点を意識しなければなりません。
文章を見ただけで「これは相手にしたくない」と思われては、時間や費用をかけたところで意味のないコンテンツとなり、延いては「こんな会社には問い合わせすらわずらわしい」と思われてしまうこともあり得るのです。

では、最近よく見る「良くある間違い」「印象の良くない言葉」「正しい使い方」などを、以下に実例として11種挙げてみます。

 

1.【基礎編】ら抜き言葉

話し言葉では既に一般化してしまった「ら抜き言葉」。

【間違った日本語】

  • ×食べれる→○食べられる(食べることができる)
  • ×見れる→○見られる(見ることができる)
  • ×出れる→○出られる(出ることができる)

方言として通用するエリアも存在するようですが、書き言葉としてはやはり違和感を感じる人も多くいます。
その証拠として「ら抜きの殺意」(永井愛著・而立書房)という戯曲がある程です。
もちろんら抜き言葉のために人が死んだりはしないのですが…。

一部では、ら抜き言葉も間違ってはいないという議論もありますが、書き言葉としてはなじまないとされているのが一般的な理解です。
言葉は時代によって変化を遂げるのは当たり前のことですが、WEBライターとして、ここは広く受け入れられる表現を用いたいところです。

特に、ターゲットがある程度の年齢であったり、BtoBの特徴である「決定権者が一定の年齢を迎えているであろう」と想定されるケースは特に配慮が必要です。

 

2.【基礎編】さ入れ言葉

丁寧さを表現せんがために、何につけ「さ」を入れてしまう方がいらっしゃいます。

【間違った日本語】

  • ×行かさせていただく→○行かせていただく
  • ×見させていただきます→○見せていただきます
  • ×送らさせていただきます→○送らせていただきます

話し手や書き手の丁寧さを心掛ける気持ちは理解できます。
ですが、話し言葉としてはよく聞いても、文字に起こすとやはり不自然です。

これは、使役動詞を更に使役形を重ねていることからくる違和感です。
「下手下手に出る」という心理状況がこのような表現を生んだと考える方もおられるようです。
慇懃無礼という言葉をご存知でしょう。
言葉や態度が丁寧すぎて、むしろ相手に嫌味を感じさせることです。

電話や対面での話し言葉であれば「ああ、緊張しているんだな」と話し手の表情を想像することができますが、一旦書き言葉として著わされてしまうと、この慇懃無礼と取られかねない表現がこのさ入れ言葉なのです。
へりくだりの表現も、的確に行わなければ失礼にあたることもあるのです。

 

3.【基礎編】れ足す言葉

何とか言葉に力を足すために「れ」を追加してしまうことがあります。
これが「れ足す言葉」です。

【間違った日本語】

  • ×行けれる→○行く
  • ×食べれる→○食べる
  • ×読めれる→○読める
  • ×見れれる→○見られる

○○できる+(可能であることを表す)れる、により力強さを表現しようとしているものと理解されています。

ですが、冷静に考えると「できる+できる」はやはり不自然です。
書き言葉に最も違和感を覚える表現と言わざるを得ません。
これはやはり方言として存在するものでもあり、つい使ってしまう方もおられることでしょう。

せっかく義務教育(小学校・中学校)で標準語を学んだのですから、日本全国どこからでも閲覧が可能なWEBの世界では、どうかこの標準語を使って頂きたいのです。

どこに生まれ育とうと、書き言葉の世界では皆が平等です。
伝えたいことをスムーズに理解してもらうためにも、書き言葉では普段以上の注意が必要です。
WEBには、書いた言葉が蓄積され続けるのです。

 

4.【基礎編】「じ・ぢ・ず・づ」と「は・へ・を(わ・え・お)」

これも基本的な事なのですが、「づ」と「ず」の使い分けはきちんと出来ているでしょうか。

【間違った日本語】

  • ×気ずく→○気付く
  • ×はなじ→○鼻血(はなぢ)
  • ×そこじから→○底力(そこぢから)
  • ×みちずれ→○道連れ(みちづれ)

これは、二つの漢字からなる読みですから、それに沿ったひらがなを宛てると覚えてください。

「気が付(つ)く」から「き・づく」
「鼻の血(ち)」から「はな・ぢ」
「底からわく力(ちから)」から「そこ・ぢから」
「行く先に連(つ)れてゆく」から「みち・づれ」

それぞれの漢字を表記するひらがなに、濁点が付いているのです。

 

【間違った日本語】

  • ×こんにちわ→○こんにちは
  • ×止むお得ない→○止むを得ない

「こんにちは」は漢字で表すと「今日は」です。
あいさつとして使用される「今日はお天気がいいですね」などを短縮したものであることから「こんにちは」とされます。
「止むを得ない」は、それ以外に方法がないこと、そのやり方を止めることができないことを表します。
そのため、「止められない」→「止むを得ない」のです。

 

【間違った日本語】

  • ×少しづつ→○少しずつ

これは、過去に「づつ」と表記されていましたが、内閣告示の昭和21年「現代かなづかい」で「ずつ」が正しいとされました。

言葉の表記は時代により変化するものですが、さほど大きく変わる物ではありません。
最新の「現代仮名遣い」は、文部省HPで確認ができます。

 

5.【顧客対応編】普通でない「普通」

話し言葉で今やどこでも耳にする「普通」。
この「普通」は、本当に普通ですか?

辞書で普通の意味を調べると、当たり前であること、ありふれたものであること、とされています。
ですが、1時間待ちの行列ができるお店で食事をしても「普通においしい」と言葉にしてしまいます。
これは本当に普通の事でしょうか。

顧客対応の際、電話であっても、現代の話し言葉にいいイメージを抱かれない方がいらっしゃいます。
中には話し言葉だから仕方がないと受け流してもらえるケースもありますが、書き言葉となれば少し話は違ってきます。
お客様からの問い合わせや注文メール、クレームに対しては、やはり正しい言葉を使いたいものです。

話し言葉を書き言葉に”変換”するとき、どうしてもそれが正しいのかどうか判断しづらいときは、言葉の置き換えをしてみましょう。

【間違った日本語】

  • ×その使用法だと「普通に」危険です→○そのご使用方法ですと「とても」危険です
  • ×こうアレンジすると「普通に」おいしくなります→○このようなひと手間で「さらに」おいしくお召し上がりいただけます

 

6.【顧客対応編】「全然大丈夫」は本当に大丈夫?

話し言葉では既に”市民権を得ている”とも言える「全然大丈夫」ですが、書き言葉としては不適格です。

ご存知の通り、「全然」の後にくる言葉は否定する言葉であるとされています。
そもそもの意味が、「まったく」「少しも」であるからです。

【正しい日本語】

  • ○全然理解できません
  • ○全然正しくありません
  • ○全然多くはありません

この「全然」に関しては、過去に肯定する語が続くスタイルが用いられていた時代があったことから問題ないと受け止める方も多くおられます。

ですが昭和30年代以降には「全然+否定」と教育の現場では教えられていますから、そのルールに従うのがベストでしょう。
「全然+肯定」が過去に使われていたとしても、今は現代。
大多数の方に受け入れられる表現を用いるように心がけてください。
実際に、入試問題やビジネスにまつわる各種検定などでは「全然+肯定」はバツがつきます。

もしも、この「全然」の使い方が解らなくなってしまい不安な場合も、言い換えを用いてください。

【正しい日本語】

  • ○まったく問題はございません
  • ○少しもご心配には及びません

 

7.【顧客対応編】「大丈夫ですか」

単に体調を心配するような場面で「大丈夫ですか」と発するのであれば問題はありません。
ですが、レストランやコンビニエンスストアなどで「お箸は大丈夫ですか」と問われると不自然な感じがしないでしょうか。
そもそも、「大丈夫」という言葉は、「強く、しっかりしている」「まちがいがないこと」を表すものです。

先の「お箸は大丈夫ですか」という言葉をこの正確な意味に”移植”すると、「お箸はしっかりしていますか」ということ。
間違った日本語ですね。

【正しい日本語】

  • ○お箸をお付けしましょうか・お箸はご入り用でしょうか→×お箸は大丈夫ですか
  • ○ご試着くださいませ→×試着も大丈夫ですよ
  • ○どうぞお入りください→×入っても大丈夫です

類似の言葉として「平気」があり、「大丈夫」と同じように使われています。
平気は、「心が落ち着いている様子」「気にかけていない事」です。

この、「大丈夫」と「平気」がビジネスシーンでもしばしば用いられるようになった背景として、「私の行動は迷惑をかけていませんか」「私は間違っていませんよね」という心理状態があると指摘する人もいます。
ビジネスはWin-Winを目指すべきものですから、心理的な萎縮により誤った言葉を使うよりも、対等ながら正しい言葉を使用することがベストです。

 

8.【顧客対応編】「役不足」と「力不足」

顧客対応、特にクレーム処理の際に決して間違ってはならないのが、この「役不足」という言葉です。
そもそもこの役不足という言葉の意味は、役、という言葉が表している通り役者さんに対して使用したものです。
「あなたのような立派な役者さんには、こういった端役は物足りないかもしれませんが…」の意味で使用されてきたものです。

これが、近年では「私の役不足で申し訳ございません」といった使われ方をするようになっています。
この使用法ですと、言葉に厳格な世代や敏感な人たちにとっては、むしろ尊大なイメージを与えてしまいます。
こんな失敗やお詫びなんて、私がすることではないんです」というニュアンスだからです。

【正しい日本語】

  • ○私が力不足でした→×私の役不足でした

以前、大物女優が有名ドラマ内で、主人公の人生を大きく左右する小芝居を依頼されるシーンがありました。
「私には役不足だわ(私にはできないわ)」とその女優さんがうつむきながら断る、という場面でした。
本来ならば、「こんな大役、私の力不足で失敗するわ」と言わなければならないところです。

台本や脚本にかかわる専門家であっても間違う言葉となった「役不足」ですが、ビジネスシーンでは使い間違いは許されないでしょう。

 

9.【顧客対応編】「ご教示」? 「ご教授」?

こちら側の理解不足や、相手の伝えたいことが不明な場合、「○○についてご教授いただければ幸いです」と言ったり、書いたりしていないでしょうか。これは、間違った日本語です。
単に教えて欲しいのですから、正しい日本語は「ご教示」です。

  • 教示→教える事、指示をする事
  • 教授→学問や芸術を伝える事(時間的に長期・密度も濃い)

相手がビジネスにおいて対等なパートナーであったり、(例え)顧客であってもコミュニケーションを図っているだけであれば「ご教示」が正しい日本語です。
「ご教授」と言われてしまえば、より重くディープな関係性を求められていると感じるため、相手は「この件で深く関わるつもりはないんだけど」と感じてしまうことでしょう。

もちろん、技術的な事柄で長期的に関わらなくてはならないような場合は「ご教授」の使用も不自然ではありません。
特に連絡を取り合っているその相手が、自分よりもその件に長く携わっていたり、技術的知識が豊富であれば、です。

更に気を付けたいのは

  • ○ご教授ください→×ご享受ください

です。

これでは、知識や技術を授ける側が入れ替わってしまっています。
誤変換とすぐに理解してはもらえるでしょうが、何と返答すればよいか迷わせてしまうかもしれません。

 

10.【顧客対応編】宛先によって変わる敬称

資料請求に対するDM発送や、メールでの問い合わせに対して返信するときなど、宛先の最後を締めくくる敬称(接尾語)で悩むことがあります。

一番失敗がないのが「」。
これは、宛先が個人名である場合です。
宛先が企業であれば「御中」です。

相手が一個人だった場合、「殿」も用いられますが、格上や同格の場合は失礼とされていますから、「様」を用いれば失敗を防げるでしょう。

関連する数名に同じ文書を発送する、もしくはメールを同報する場合は「各位」です。
会員各位、関係各位、担当各位―といった具合です。
「各位」という言葉自体が敬称ですので、「各位様」のようにムダな接尾語を用いることはありません。
同報する宛先に関係の上下があり、一律に扱うことが悩ましく思えるときでも「関係者各位」でしたら失礼はありません。
それでも心配ならば、「各位」で統一して構いません。

社内でのビジネス文書ルール(テンプレート)がある時はそれに従えばよいでしょう。
また、取引先との関係性がいまひとつ見えてこないようならば、上司や同僚に相談してみるのも一案です。

 

11.【応用編】WEB辞書や、PCの変換機能をフルに使おう

顧客対応や取引先とのやり取りにメールも多用されるようになった今、書き言葉の重要性がさらに増していると言えます。
手書きでない分、誰が入力しても同じ文字としか受け取られません。
他と差をつけるとするならば、言葉の正しさや丁寧さが求められるのです。

誤変換を一緒に楽しんでくれるような間柄の相手であれば特に問題も起こりませんが、さすがにビジネスともなると慎重を期さなければなりません。
Microsoft IMEは、同音異義候補の意味を教えてくれます。
もしも表示されない設定になっているのなら、今すぐにでも元に戻してください。

言語バー→ツール→プロパティ→変換タブ→コメントの表示→「単語コメントを表示する」にチェック

この「意味の表示」が鬱陶しいならば、ネット上の辞書を活用してください。

このひと手間で間違いのない言葉づかいができるようになるのですから、利用しないのはもったいないことです。
是非設定を見直すか、辞書の活用を。

 

【まとめ】正しい日本語・間違った日本語

話し言葉は時代により変化することは誰でも知っている事実です。
ですが、一方では書き言葉はさほど大きく変わらないものです。
ビジネスシーンであれば、このことをきちんと意識したいもの。

日々メールやWEBで目にするテキストは、それを作成した人物の人となりまで表現することはありません。
だからこそ、丁寧さや気遣いを表現するため、基本に忠実であるべきなのです。
あなたの綴る文章で、会社全体のイメージが左右される事すらあるのですから…。

書き言葉は、話し言葉以上に重要であることは、もうお分かり頂けたはずです。