6月1日からスタート!「医療広告ガイドライン」について知っておくべきポイント4つ

医療広告ガイドライン

病院やクリニックのWebサイト管理者、またはサイト管理を請け負っている方にとって、6月1日はまさに慌しい日となります。厚生労働省が「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」を策定し、施行されるのがこの日だからです。

あなたの管理しているWebサイトは適正でしょうか。法に触れるような表現はしていないでしょうか。

今回はこのガイドラインから、広告とは何を指すのか、どのような表現が悪いのかなど、具体的に解説いたします。読み終わった頃には、今すぐ手を入れなければならないところがわかるようになっているはずです。

1.今回のガイドライン策定・施行の背景

ガイドラインの解説に入る前に、なぜ今回このガイドラインが施行されたのかについて知れば、「良いこと/悪いこと」が大雑把にでもわかるようになります。

近年、美容外科をはじめとした自由診療(健康保険が効かない治療)を手がける病院やクリニックの問題が噴出しています。その数は年々増えていて、その相談内容の主なものが“販売方法や広告に問題のある相談”とされています(美容医療サービス│独立行政法人国民生活センター)。

また、その被害も年々大きくなっています(60歳以上の女性の美容医療トラブルが高額化!-しわ取り注射で1,300万円もの請求が…-独立行政法人国民生活センター)。

これらのデータから、

  • 広告手法/表現に問題がある
  • 明快でない料金表
  • しつこい勧誘

などがトラブルを引き起こし、その結果として消費者に苦痛を与えている、とみなされたことがわかります。このような問題を受け、今回このガイドラインを策定、施行することとなったのです。

広告とは? 今回のガイドライン施行で何が対象になるの?

今回ガイドライン施行により、以下のものが規制の対象となります。

Webサイト

公式サイトは当然のことながら規制の対象となります。ここで誇大な表現をしたり、「絶対」「治る」「必ず」「日本一」といった、医療界ではタブーである表現をしたりすることも問題となります。なぜなら、治療(手術)は万人に間違いなく効果をもたらすものではないですし、なにをもってして日本一なのかもそもそも不明です。

マスコミ・広告代理店

Webページや新聞、雑誌の記事の中に、広告が紛れ込んでいることがあります。これを記事広告といい、取材やインタビューといった形を取りながらも、広告料が支払われているようなケースです。

実際にメディア側から広告費なしの取材やインタビューを申し込まれ、それにより記事が書き起こされて「これは広告ではない」旨記載されることがあります。しかし、病院名や所在地、電話番号など“特定できるもの”が含まれる場合、実質的に広告とみなされることがありますので注意が必要です。

ダイレクトメール/Eメール

国内からであろうと、海外からであろうと、日本国内在住者向けに発送・発信されたダイレクトメールやEメールもまた、規制の対象となっています。

封書やチラシ、パンフレット、FAX、インターネットを経由する…どのような形状であっても、個人に向けて送られたものは広告とみなされます。

アフィリエイト広告

いわゆる「アフィリエイター」の運営するサイトや、アフィリエイトに必須のアフィリエイト用バナーも、今回の規制の対象となりました。

アフィリエイトサイトやブログは、広告業者(広告代理店)ではなく、一般の個人事業者により運営されていることも少なくありませんが、ガイドラインにおいては「患者または一般人等、何人も広告規制の対象とされるものである」と定められています(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)│厚生労働省)。

ブログといえば、個人が自由に情報発信する場として利活用されています。広告費を“どんどん稼ぐ”ためではなく、日々の雑感を綴るのに加えて、何らかの医療広告バナーを貼る、それに関する記事を書くときも充分に注意しなければなりません。

どのような表現が問題になる?主な4つのポイント

ガイドラインは、何を「広告とするのか」を定めているのみならず、どのような表現が問題となるのかも定めています。どのような表現が規制にかかってしまうのかも知っておかなければなりません。

1.虚偽広告

虚偽とは、「偽り」「事実でないこと」を指します。また、故意に偽りを真実として表現することをも含みます。

たとえば

  • 「絶対に」=治療・手術に絶対はないので、虚偽とみなされる
  • 「満足度○%」=具体的な調査とその調査法など明確な根拠が提示されない場合、ないしは調査に対し金品支払いや何がしかの便宜が図られた場合は虚偽とみなされる可能性あり
  • 「1日で終わる」=治療・手術が1日で終わっても、その後の経過観察のため通院が必要な場合は虚偽にあたる

これらはまさしく虚偽です。

また画像を使用する場合も、術前・術後の写真が加工されているものの場合も「虚偽」にあたるとみなされてしまいます。

2.比較優良広告

他の医療機関(特定・不特定)と比較し、規模や人員、治療内容など「他より優れている」ことについて広告することは「比較優良広告」とされます。

  • 「日本有数の」=比較するためのデータを持ち合わせ、必要に応じてそれを提出できる状態になければ比較優良広告とみなされる
  • 「芸能人○○さんも通院」=他のクリニックより優れているため有名人も利用しているのだと誤認させてしまう可能性がある
  • 「最高の」=何に対しての最高か、が不明瞭。根拠とする調査結果があれば、調査実施者や調査範囲、調査を実施した時期を明示することが必要

治療や手術に関して、それらの有効性や安全性を直接的に示すのではなく、規模・スタッフ数で判断させる、著名人の“威光を借りる”のは、そもそもの筋道から外れた広告手法といわざるを得ません。

3.誇大広告

あからさまな虚偽とはいえないものの、表現方法によっては「誤認」させかねなないものを誇大広告と呼びます。

  • 「比較的安全」=どんな方法と比較して安全なのかが不明瞭
  • 「医師○名在籍」=常に最新の情報を明示する必要あり。随時更新することが求められる
  • 「○○は効果が高い」=明確な根拠なく、特定の手術の効果が高いと強調することで消費者の誤認を招く恐れあり
  • 「○○術は効果が低いので、○○術がよい」=科学的根拠を提示することなく他の術式の効果を強調することは、消費者を誤導する可能性あり
  • 「テレビ番組で紹介された」=実際に紹介されてはいても、それそのものが医学的根拠とはいえない
  • 「1箇所で○万円」=複数個所手術での合計費用のうち1箇所分の表記で、本来1箇所ならば表示価格よりも高くなるときは誇大広告とみなされる(1箇所料金を明示していても、文字が小さいなど見落としが発生する可能性をはらんでいる場合も同じく)

4.口コミ・評判

たとえ患者本人の感想であっても、病院やクリニックの公式Webサイトに掲載されているものは「当該医療機関への誘引を目的」としているとみなされる可能性があります。いくら主観的な意見として寄せられたものであっても、患者それぞれに感じる効果は異なるうえ、公式サイトではよい意見しか取り上げないはずですので、誤認を与えるものとして考えられます。

個人が運営するブログやSNS個人アカウントから発信されたもの、いわゆる口コミサイトへの書き込みに関していえば、医療機関が広告料を支払うなど便宜を図る行為がなければ広告とはみなされません。

既に「パトロール」はスタートしている!

あまりに過剰なPRや誇大な文言で医療機関に「誘導」されてしまい、後悔してしまった消費者も少なくありません。情報を得ようとネット検索して「これはウソではないか」と不信感を持った消費者はもっと多くいることでしょう。

このような事象を“通報”できる場があります。

医療機関ネットパトロール相談室│一般財団法人日本消費者協会(厚生労働省委託)

自分自身の目で見、考えることのできるいわゆる「ネットリテラシーの高い方」にとって、特に誇大広告は目に余るものとして引っ掛かりが感じられるものでしょう。

このようなとき、このようなサイトに“通報”されてしまうと、サイト管理者としては不名誉なことです。

今や、消費者すべてが目を光らせている、としても過言ではないのです。

罰則はあるの?

あります。ガイドラインにはこのように記載されています。

同条第2項による中止命令若しくは是正命令に従わず、違反広告が是正されない場合には、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定により、司法警察員に対して書面により告発を行うことを考慮すべきである。

なお、罰則については、①の虚偽広告、法第6条の6第4項に違反する場合(麻酔科の診療科名を広告する際に、併せて許可を受けた医師の氏名を併せて広告しなかった場合)又は④の中止命令若しくは是正命令に従わなかった場合には、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金(法第87条第1号)、②の報告命令又は③の立入検査に対する違反の場合には、20万円以下の罰金(法第89条第2号)が適用される。

医療機関公式Webサイトが悪質な場合、告発され、さらには6カ月以下の懲役ないしは30万円以下の罰金が課されることと定められています。また、さらには病院や診療所開設許可が取り消し、ないしは閉鎖を命じられることもあり得ます。

しかしながら、その広告を中止や是正が求められる前に、行政手続法第13条で規定されている「弁明の機会」が与えられます。不服がある場合は、ここで意見を申し述べることとなります。

新聞や雑誌、テレビなどのメディア、アフィリエイターに関しては、違反とみなされた場合、「指導等の対象となり得る」と表記されています。ガイドライン内では、これら間接的に広告に関与する者に対する罰則は明示されてはいないものの、悪質な場合“大打撃”を被ることは充分に考えられるでしょう。

併せて知っておきたい法は?

今回施行されるガイドラインと深く関わりがあるのは、以下のものです。

  • 医薬品医療機器等法=医薬品や医療機器について虚偽・誇大広告の規制
  • 健康増進法(平成14年法律第103号)=健康食品に関し、誤認させる表記の規制
  • 景表法(景品表示法)=競争関係にあるものより著しく優良であると誤認させることの規制
  • 不正競争防止法(平成5年法律第47号)=虚偽の内容を掲載することの規制

どの法にも共通していえるのは、「虚偽記載をしないこと」「消費者に誤認させないこと」です。

まとめ

今回のガイドライン施行は、医療機関(病院/クリニック)公式Webサイトに関わる方、広告を依頼される広告代理店やメディア、アフィリエイターにまで影響が及びます。サイトやブログの大幅な“手入れ”が必要となることも考えられます。

しかしながら、それは「間違いのない良質なコンテンツを準備すること」につながり、読み手の満足にもつながるはずです。一度ガイドラインの隅々にまで目を通し、関連する項に充分留意したコンテンツ作成を心がけてください。

今回は6月1日施行の医療広告ガイドラインについて解説しましたが、特にご記憶いただきたいのは次の3点です。

  1. 過度のPR文言に騙され、膨大な費用を払わされたというトラブルが絶えない
  2. コンテンツ作成時には虚偽広告・比較優良広告・誇大広告を避ける
  3. ガイドライン施行に伴い、罰則が定められたので充分に注意を