【医師ライターが教える】医療記事ライティングの際に気を付ける6つのポイント

b24ad6f6e521b030d26cf6bc127c9096_s

医療情報を探そうと、検索エンジンでサーチをかけると莫大な量の情報が見つかります。しかし医療情報は玉石混合であり、質の良い情報と悪い情報が混じりあっています。ライターとして質の良い医療記事をライティングするためのポイントを現役医師ライターが解説します。

良い医療情報と悪い医療情報とは

昨今、インターネット上の情報の正確性・信頼性が大きな問題となっています。特に医療情報はセンシティブな内容になることが多く、正確性・信頼性が高い情報を発信することが望まれています。しかしながら現状ではインターネット上の情報は玉石混合であり、良い情報と悪い情報が混在しています。医療・ヘルスケアに関わる情報を発信するライターとして、どのような医療情報が良い情報で、悪い医療情報とはどのようなものか、しっかりと把握することが重要です。
まずは悪い医療情報とはどのようなものかを述べていきたいと思います。悪い医療情報とは主に以下のようなものが該当します。

  • リサーチ不足により、曖昧で不確かな情報が含まれていること
  • 執筆者の推測、想像の情報が含まれていること
  • 文章のインパクトを増すために、明らかな嘘や誇張表現が含まれていること

医療情報を検索してくる消費者は差しあたっての何らかの問題を抱えていることがほとんどでしょう。それには「最近疲れやすい」「風邪を引いたときにはどんなビタミンを摂取したほうがいい?」といった軽いものから、「胸の痛みが気になる。重大な病気では?」「便に潜血が見られる。考えられる疾患は何か?」という重いものまであります。
曖昧で不確かな情報や推測、想像の情報、明らかな嘘や誇張表現を含んだ情報は正確な情報を望む消費者にマイナスの効果を生んでしまいます。最悪の場合、何らかの健康被害をもたらすことも考えられるため、悪い医療情報を発信するべきではありません。

一方で良い医療情報とはどのようなものなのでしょうか?まず前提として「正確性・信頼性が高いこと」が挙げられます。悪い医療情報は最悪の場合、消費者に対して健康被害を生む可能性があります。しかし正確性・信頼性の高い良い医療情報を発信することで、消費者の判断を助ける要素となり、通院や診察の後押しをして早期治療に繋がる可能性があります。医療情報を扱うライターとして、正確性・信頼性の高い情報を発信していけるように努めていくことが重要です。

なお、あくまでインターネット上の情報に限定されますが、各種大学や研究機関、学会などから発信されている情報が必ずしも良い情報とは限りません。それらの機関から発信されている情報は確かに正確性・信頼性・専門性が高く、安心して読むことができる情報です。しかし専門用語や独特の硬い文章となっていて、一般消費者にとっては読みづらくなっていることもあります。

医療・ヘルスケアの携わるライターとして信頼性・正確性の高い情報を発信することは重要な前提です。しかしもう一つ、少し敷居の高い印象のある医療情報を分かりやすく発信することも医療・ヘルスケアライターの重要な役割でしょう。信頼性・正確性の高い情報をリサーチして、一度かみ砕き分かりやすく消費者に伝えることが重要です。それでは信頼性・正確性が高く、分かりやすい情報を発信するにはどうすればよいのでしょうか?6つのポイントを解説していきます。

ポイント① 信頼性・正確性の高い情報源の見つけ方

bc93df0bf7498b6059e0205ab916d694_s
医療記事を執筆する際に最も課題となるのが、信頼性・正確性の高い情報源をどのように探すかになります。医療情報がセンシティブなものである以上、曖昧で適当な情報源を参考として執筆するのは避けるようにしましょう。信頼性・正確性の高い情報源はインターネット上で言えば、以下のようなサイトが参考となります。

  • 厚生労働省
    日本人の疾患や栄養状態などの統計を取っている。具体的な数値を参考にしたいときは厚生労働省のサイトを探してみるとよい。
  • 日本〇〇(整形外科、内科など)学会
    整形外科、内科、外科などの診療科目ごとに学会が存在している。その診療科目に関わる疾患を解説していることがあり、信頼性・正確性ともに高いためお勧めできる。ただし、疾患の解説がない学会も存在する。
  • 大学病院、国公立の病院
    大学病院や国公立の病院はアカデミックな情報が多く、参考にしやすい。ただし文章が難解なことも多い。

大学病院や国公立の病院はアカデミックな情報が多く、参考にしやすい。ただし文章が難解なことも多い。

医療記事を執筆する場合は、インターネット上の情報を参考にしてこれらの機関のサイトを参考にしてみるとよいでしょう。ただし日ごろから医療用語に慣れ親しんでいないと、内容が難しいこともあります。日ごろから医療に関わる情報をキャッチアップする訓練を欠かさないようにしましょう。

また一般的に、インターネットメディアより信頼性が高いと考えられている紙メディアにも信頼性・正確性が低い情報が存在します。「紙メディアを参考にしているから間違いはないだろう」という考えは、悪い医療情報を発信につながる可能性があるため危険です。紙メディアの情報を参考にする際は、医学書やそれに準ずるレベルのものを選んだ方がよいでしょう。

そのほか、医療記事執筆のうえでの情報ソースの見つけ方や気を付けるべき点はこちらの記事で解説しています。一度参考にして頂ければ幸いです。

ポイント② 可能な限り簡単な表現で

インターネットや紙メディアから信頼性・正確性の高い情報を参考にしようとすると、情報の属性がアカデミックなものに偏ります。それらの情報の信頼性・正確性は高いため、参考とする情報源としては申し分ありませんが、その分専門用語や文章が難しいことも多いため、ライターそれぞれが一度かみ砕き、読みやすくすることが重要です。
例えば咳や微熱が出る「風邪」は、「普通感冒(ふつうかんぼう)」と表現されることも多いです。普通感冒は普段から医療情報に接している人でないとなかなか読めないことが多いのではないでしょうか?このように普段から医療情報に接していない消費者に向けて、信頼性・正確性を落とさず簡単な表現にすることも医療ライターの重要な役割です。

ポイント③ 具体的な数値を出す

医療情報を扱う上で、「数値」はとても重要なものとなります。可能な限り具体的な数値を示すように努めるべきでしょう。例えば冬季になれば毎年のようにTVや新聞のニュースで「ノロウイルス感染者が増加しています」という言葉を聞いたり目にしたりします。このように知らず知らずのうちに、感覚的に「ノロウイルスは冬になれば増えるのか」という事実を知っていることは多いです。
すでに知っていることを改めて医療情報として発信しても、消費者の参考にはなりません。上記の例で言えば「冬にノロウイルスに感染する人は増加します」という情報を発信しても、それは既知の情報となるため消費者の興味を引くことはできないでしょう。同時に既知の情報を提示されたことにより、記事自体の信頼性・正確性にも疑問を持たれてしまうこともあるかもしれません。
具体的な数値は文章の説得力を増加させ、信頼性・正確性を高める働きをします。医療記事を執筆するうえでなにより重要になるのは高い信頼性と正確性のため、具体的な数値をできるだけ入れるように普段から心がけるようにしましょう。
上のノロウイルスの例でいると「冬にノロウイルスに感染する人は増加します」ではなく、「2015年(平成27年度)のノロウイルスの患者数は4月から12月までが4773人なのに対して1月から3月だけで10097人と冬季に大幅に増加します」のほうがはるかに説得力が高くなるでしょう。なおこの統計情報は上にある厚生労働省のサイトから見つけることができます。

<出典>
厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A ノロウイルスによる食中毒発生状況
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000128667.xls

ポイント④ 小見出しごとの結論は最初に書く

小見出しごとの結論はなるべく最初に書くことが重要です。一つの医療記事は複数の小見出しで構成されることがほとんどでしょう。インターネットメディアの情報はスマートフォンやタブレットを利用して、読みやすいため、基本的にすべての内容を熟読されることはありません。消費者は記事のすべての内容に目を通すことはあまりなく、流し読みをしつつ、自分に必要な情報を探すことが多いでしょう。小見出しごとにタイトルと冒頭部でどのような内容が書いてあるかを示すことで、消費者が読む際の利便性を向上させることができます。
また結論が最初に書かれることで、消費者は結論を頭に入れた状態で後の文章を読むことができます。文章が理解しやすくなることで、他の記事を読んでもらえる確率も高まります。

ポイント⑤ ライターの個性を利用する

医療情報を執筆するライターにも様々な属性の人がいます。医師や薬剤師、看護師などの医療従事者から医療職ではないヘルスケアライターなど様々です。医療記事を執筆するうえで、自分の個性を最大限利用することで、読みやすい記事や共感を得やすい記事、説得力の高い記事を執筆することが可能です。
医療職に就いているならば、自分の経験を活かしてより信頼性や専門性の高い文章を執筆することが効果的です。医師ならば最先端の治療の知識やそれぞれの診療科ごとの疾患の執筆、薬剤師ならば処方される薬の特徴や市販薬の効果、看護師ならばヘルスケアや栄養などそれぞれの職業に合わせた専門性の高い文章を執筆することが可能です。
専門性という点では一歩、医療職に劣ってしまいますがママライターに代表されるヘルスケアライターも個性を活かすことが可能です。医療職ではないヘルスケアライターは医療職に就いているライターよりも、消費者目線に立ち、記事を執筆することが可能です。文章の分かりやすさや消費者目線でほしい情報など共感に優れた文章の執筆が可能となるでしょう。
あくまでしっかりとした情報源を参考に、信頼性・専門性の高い文章を執筆することが前提です。その前提をクリアしたうえで、ライターそれぞれの個性を利用することで、より魅力的な文章の執筆が可能になります。

ポイント⑥ しっかりと見直しをする

医療情報で最も重要になるのが信頼性・正確性です。誤字脱字がないことも重要ですが、まず何よりしっかりと信頼できる情報であることを意識して見直しをするようにしましょう。見直しをする際のポイントとしては、すべての情報を信頼できる情報源を参考にしているかどうかです。
一度自分の執筆した文章を読み直して、自分の想像や推測で書いた箇所がないかをチェックしましょう。その後、分かりにくい表現や難解な表現がないかを確認します。もしそのような個所や表現があれば修正を行います。最後にもう一度、読み直してこの情報は〇〇(参考とした情報源)から探してきたというイメージができる状態になっていれば理想的です。
たとえ医師や薬剤師、看護師などの医療従事者であってもこの最後の見直しは必ず行うようにしましょう。医療情報は日進月歩であり、最新の情報はどんどん更新されていきます。自分の経験や知見が正しいという考えは捨てて、自分の経験・知見と信頼できる情報源とでダブルチェックをしっかりすることが重要です。

まとめ

  • 良い医療情報とは信頼性と正確性が高く、一般の消費者にとって分かりやすく伝えられる情報のことである
  • 悪い医療情報とは曖昧な表現、推測や想像によるもの、明らかな嘘や誇張表現が含まれた情報である
  • 悪い医療情報は消費者にとってマイナスの効果を生み、最悪の場合は健康被害をもたらすため、良い医療情報を発信できるように努めるべき
  • 医療記事を執筆する際は研究機関や大学、国公立の病院、医学書などのアカデミックな情報源をソースとすること
  • 医療情報は難解な表現や専門用語を使われることも多いため、一度かみ砕き簡単な表現にすることも医療記事ライターの役割である
  • 記事の説得力を増し、信頼性と正確性を高めるために数値は具体的なものを使用すべき
  • 理解しやすく、読みやすい文章を執筆するためには小見出しごとの結論を最初に述べることも重要
  • 医療従事者でなくても、ライターの個性を出し共感性の高い文章を執筆することはできる
  • 見直しはしっかりと行うこと。特にすべての情報を信頼性と正確性の高い情報源から探してきているかは確認するべき
  • 医療従事者でも自分の経験と知見と信頼できる情報源とで情報の正確性のダブルチェックを行うことが重要