他社をアタマひとつリードするには? ~PRライター直伝・プレスリリース作成術

プレスリリース作成術

広報・PR担当者にとって避けて通れないのが、プレスリリースの作成。企業や製品のイメージアップ、認知度上昇をはかる上において広報は、重要なキーポイントとなるセクションだけに責任重大。毎回、胃の痛くなるような気持ちを味わっている方が大半ではないでしょうか? ましてや文章作成に不慣れな企業経営者の方なら、書き方自体が雲をつかむようで五里霧中。そんなケースもあるでしょう。

どんな文章を書くべきなのか。いかにしてメディアに訴えかけ、自社で作成したプレスリリースを媒体掲載に至らせるのか。取引先に好印象を与えるにはどうすればいいのか。今回は、そうした要望にお応えするための、すぐ使えてタメになるプレスリリース作成術をお教えします。

1.魅せる書き方は“プロ”を真似よ!プレスリリース記事作成の王道~「逆三角形型」

読み手に興味を持ってもらうために、最も手短な手法。それは“プロに学ぶ”こと。あるいは真似するのが早道です。

いわば、形から入るわけですが、この言い方にはマイナスイメージを抱く人も多いはず。しかし、こと文章の世界においては積極的に上手な人を真似るべき。むしろ、古来から当たり前とさえいえる方法です。空手など格闘技の稽古同様に、まず基本はカタ。実際、これがなくては応用も覚束ないものです。

魅力ある書き方を真似る場合、参考の一番手としてあげたいのはタブロイドの夕刊紙や雑誌などに掲載されている記事広告。不特定多数の読み手に関心を持たせて、つい読ませてしまう。さらに商品自体を欲しいと思わせる文章。そうした書き方の代表的なものに「逆三角形型」というのがあります。この手法は、活字媒体において非常にポピュラーなものです。

不特定多数の読み手に関心を持たせる「逆三角形型」とは?

逆三角形型とは、どんな書き方なのか? まず、箇条書で簡略に説明します。

①タイトルに“売り”を織り込め
②最初に結論や核心を書いて、対象物の目新しさやショッキングな内容を提示せよ
③詳細な解説&説明は後で付加

文章は、タイトルと最初の数行で、その先が読まれるかどうかが決まってしまいます。文学賞に応募された小説作品の場合でも、タイトルと書き出しの魅力が薄ければ、編集者はたいてい完結まで読んでくれません。

記事広告でも、冒頭で細かな説明や解説があると、読者は面倒になってしまいます。とっかかりにはサプライズを与えるべきで、はじめに大きく、それから小さく。簡単にいえば、これが逆三角形型という方法論です。

上の①②③を、たとえば新開発の化粧品を例として応用するなら。

①→もう水で流れない、吸着率60%アップのNEWヒアルロン酸配合!

こういった書き方で“どの部分がどう新しいのか、どんなサプライズなのか”をアピールします。

ヒアルロン酸といえば肌にみずみずしさを与える成分として有名ですが、水溶性で流れ落ちやすいウィークポイントがあります。しかし、このタイトルには“従来の常識を覆した”という意味合いの、非常に画期的で目新しい情報が盛り込まれています。

「へえ、そんなものができたのか」

と読み手に関心を抱いてもらい、もっとこの情報について知りたいと思わせることが可能になるのです。

②→「肌のツヤツヤ、モチモチ感が、今までと明らかに違う」「指で押してもプルンと押し返してくる。頬の弾力が強くなった」

当製品のモニター女性80人が、一様に驚きの声をあげています。4段階式のアンケートで最上級の「大いに満足」と答えた方が77人と、圧倒的な支持を集めたのがこの製品です。・・・・・・

この種の製品なら、客観性を盛り込むため、上記のように被験者の感想を最初に並べるのもグッドな方法。また、具体的な数字も織り交ぜながら、当該商品が多くのユーザー(この場合は発売前なのでモニター)に受容され、いわゆるウケていることをアピールします。次なるヒット商品になる可能性が高いと読み手に感じさせることが重要なのです。

③→このNEWヒアルロン酸は、当社研究開発部門によって独自に開発された○○○成分とヒアルロン酸を混合することで完成されました。従来よりも吸着率が60%アップ(当社比)し、さらに副作用のない成分比で配合。価格も250ミリリットル680円(税込)と類似品に比べて安価・・・・・・

新製品がどれだけ画期的であるかをアピールしたら、最後に③で製品開発に至った道程や成分の解説、価格、比較対象(当社比や類似品の部分)、あるいは発売予定日など、より具体的な情報を必要に応じて書いていきます。

化粧品や特定保健用食品なら、医師や研究者など専門家のコメントを挿入するのもグッド。製品の信頼性をアップする上で有利となり、それがそのまま企業自体の信頼度をも上げてくれます(専門家のコメントも冒頭に置いて、ユーザーの支持と同時に医学のお墨付きも頂いているとアピールするのもいいですね)。

プレスリリースでも、考え方は同様です。いかに画期的な新製品だからといって、冒頭から大真面目に難しい解説や専門用語が羅列されれば、読み手は疲れてしまいます。開発秘話なども前よりは後がマル。製品自体の凄さが伝わっていない状態では、どんな苦労話も説得力を持ちません。

はじめに書くべきなのは、読み手にサプライズやワクワク感を与える文章。

そうした手法があることを念頭に置いた上で、プロの文章と自社のリリースを読み比べてみてください。きっと、新たな発見があるはずです。

2.文章はより簡略に、読みやすく“わかりやすさ”を意識して

広告やプレスリリースなど、訴求力を持つ文章を作成する場合、文章はなるべく簡略かつ明瞭であるべきです。

筆者は小説家志望から商業ライターへと転身したクチですが、最初の頃、指導してくれたベテラン記者から、

「文章が、まだるっこしい。記事の場合は、一文をもっと短く簡潔に」

とのアドバイスを受けました。

文学作品の場合は、一文に対して様々な意味を持たせて構いません。小説とは、非常に自由度が高い文章です。

しかし、記事やリリースに関してはまったく逆。いかに読みやすく明晰で、理解しやすいか。スルッと頭に入りイメージ自体は強く残る書き方。これを意識するべきです。

具体的な一例として、

  • リリース作成の際に「、」いわゆる読点が多すぎると文章が曖昧になりやすく、伝わりにくい嫌いがあること
  • 地名や製品名を列挙する必要がある場合以外は、一文に対して1~2箇所くらい打つのが適当

これがライティングの常識です。

一文をなるべく短くすることも、明確な文章を書く際の重要なテクニック。接続詞の多い長文よりも、サラッと言い切った簡潔な文のほうが印象に残りやすいものです。映画の有名なセリフや、ことわざ。こういったものは、たいていこうした構成になっています。

また、ムダにカタカナ語や横文字を用いると読み手にとって煩雑となります。

ノーベル賞作家の大江健三郎は大学時代、読書の際には必ず手元に辞書を置くようにと、教授から指導されたそうです。研究や勉学といった姿勢で文章を読む、あるいは読み解く。そうした作業を行うつもりであれば、これはベターなやり方でしょう。また、文学作品や哲学書を読もうとする人なら、はじめから難解な文章へ立ち向かう覚悟ができています。

しかしプレスリリースを読む人が、そんな姿勢で文章を読むでしょうか? それはないですよね。メディアの記者や、企業人。多忙な人々です。煩わしいと感じられたら、そのリリースは瞬時にゴミ箱行きとなるでしょう。

このところビジネスの世界では、カタカナ語が氾濫しています。スマートな印象を与えるし、知的でもあります。とはいえ日本語で表現できることまで、ムリヤリ横文字にするのはどうでしょう。すでに常識となっている語句なら問題ないとしても、それこそ辞書を引いて調べなければわからない言葉。こういったものを羅列されたら、読み手は面倒しか感じないはずです。

業界特有の専門用語を記す必要がある場合も、あるでしょう。その際には注釈を書き加えておくのがベター。

ただし、専門性の高い用語は、プレスリリース段階では多用するべきではありません。あくまで外部の人間に読んでもらうものだからです。リリースの際にはむしろ最低限に留め、取材の日まで取っておきましょう。

読む人に面倒、煩わしいと思われたら、プレスリリースはオシマイ。そう記憶しておくべきです。

3.視覚に訴えるコンテンツを盛り込む図や写真を効果的に用いよう!

ネット社会である現在は、視覚情報の重要性および訴求力が増しています。画像&写真が主で、テキストは従。まずは視覚情報ありきといった印象が強くなっている昨今です。

実際、個人的な感想ではあるものの、筆者も画像や写真に魅力がないサイトはスルーすることが殆どです(ライターのクセに、ですが・・・・・・)。

視覚情報によって好奇心をくすぐられ、その後に詳細説明あるいはキャプションを読む。時代が進めば進むほど、そうした感覚で情報の取捨選択を行う人が増えていくことでしょう。

その意味で、使用できる画像や写真があるなら、積極的に添付することをおススメします。データを添える必要がある場合でも、グラフを作成して視覚に訴えることができれば、より読み手の興味を惹き理解を深めるのにも役立つはずです。

紙ベースでプレスリリース作成をするケースでも同様。写真や、画像あるいは動画データの入ったCD-ROMやUSBメモリーを同封することで、さらに興味深いプレスリリースとなるでしょう(この場合は、郵送での方法ですね)。

最後に、プレスリリースの書き方には、明確なルールやマニュアルが存在するわけではありません。とはいえ、社会生活を送る上でのマナーが存在するように、最低限の暗黙のルールは守るべきです。

たとえばメールではなく、紙で送付する場合。

  • 「A4で一枚が原則」
  • 「本文は明朝体」
  • 「タイトルはヘッダー中央に」
  • 「リードは本文とは別に、350文字程度」

上は一例ですが、ルールではなくマナー。こういった要素があることは、理解しておくべきでしょう。

また、昨今ではインターネット上にこうしたタメになる情報がいくらでも氾濫しています。どのような構成で書くべきかをアドバイスした「5W5H」と呼ばれる手法もあります。

メール送信の場合、何曜日の何時頃ならクリック率が高いのか。そうしたテクニカルな情報も存在しています。

こうした情報はネット上でいくらでも拾えます。プレスリリースを作成する前に、まずはセオリー中のセオリーにも触れておくべき。

こういったプレスリリースの書き方や配信方法に関して役立つサイト名とURLを、下に記します。ぜひ、こちらも参考にしてください。

① プレスリリース講座 by PR TIMES|プレスリリースの書き方など
http://prtimes.jp/pressrelease/

プレスリリースに関して専門的に、様々な切り口から考察しているサイト。書き方の基本から、NG、効果的な配信頻度など。

② @Press「プレスリリースの書き方」
http://www.atpress.ne.jp/pr_recommend/howtowrite/

情報整理のために必要な「5W5H」について解説しています。作成にあたって留意するべきポイントを箇条書で提示しているので、理解しやすい。

③ Web担当者Forum「リリースはどの曜日のどの時間帯に出すのが効果的か 調査データ3種」
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/09/14/8797

リリース配信サービス運営会社のPDBマーケティングによる、プレスリリースのクリック数から導き出されたデータが公開されています。最もクリック率が高いのは、何曜日の何時なのか? とても興味深いデータです。

また、このサイトには「プレスリリース・ニュースリリースの書き方&活用基礎講座」というコンテンツがあります。紙のリリースの書き方やマナーから配信方法、自社サイトでリリースを公開する場合の掲載方法など、非常にタメになる情報がタップリ詰め込まれています。

最後に

今回はPRライターとしての立場から、プレスリリースに応用できる記事作成の手法を記しました。 むろん、記事広告とプレスリリースは、別物です。とはいえ実のところ、構成自体は非常にソックリ。他者を魅了する書き方を志すのだから、姿勢自体はまったく同じなのです。

ゆえに、真似でもいいのです。盗めるものは、積極的に盗んでください!