広告関係者必読!10分で理解する景品表示法の違反事例

景品表示法の違反事例

画期的な企画を打ちたい!そう願うマーケティング担当者は星の数ほどいるはずです。

「画期的な企画」がどういうものなのかについてはここでは置いておくとして、そんな意欲の高いマーケティング担当者にとって避けて通れないのが景品表示法(景表法)です。

 

「名前は聞いたことあるけどよくわからない…」なんて言っていると、汗水たらして考えたあなたの企画が台無しになってしまうどころか、企業全体の信用を損なう大変な事態を引き起こす引き金になってしまうかもしれないんです。

「大げさに書き過ぎでは?」と思われるかもしれませんが、残念ながら前述した事態はあながち大げさでもなくなってしまいました。

また2014年の改正景品表示法により罰則が強化され、表示管理体制が不十分であっても企業の名前が公表される可能性が出てきました。

 

今回はそんな景表法の概要と抑えるべきポイント、そして違反事例につい10分で読めるコラムを作成しました。

いち企業のマーケティング担当者として、ここでしっかり景表法を押さえておいてください!

 

1.景品表示法とは?

《このカテゴリのポイント》

  1. 景品表示法は消費者の正当な商取引を守るための法律
  2. 禁止項目は大きく「不当な表示の禁止」と「過大な景品類の提供の禁止」の2つに分けられる

商品を購入する際、皆さんはその商品に関する情報や広告などを参考に商品を購入しますよね。その情報や広告がもし間違っていたり、過大表記だったりしたら、あなたはどう思いますか?つい「騙された!」「金返せ!」「大げさだ!」と声を荒げたくなりますよね。

 

このように商品やサービスにかかるさまざまな表示情報や景品において、消費者に「騙された!」「大げさだ!」と思わせるような表示を禁止するのが景表法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)です。

つまり景表法は、消費者の正当な商取引を守るための法律であり、商品やサービスを提供する企業のマーケティング担当にとって重要な法律と言えるのです。

景品表示法で禁止されている項目は、「不当な表示」「過大な景品類の提供」の大きく2つに分けられます。以降はこの2つを軸に話を進めていきます。

 

2.「不当な表示」禁止の概要とその違反事例

《このカテゴリのポイント》

  1. 不当な表示とは事実以上に著しく商品・サービスが良く見えてしまう表示のこと
  2. 故意でなくとも禁止事項に抵触してしまうことがある
  3. 「表示」の対象はパッケージからセールストークまで多岐にわたる
  4. 「不当な表示」は大きく3つに分けられる

景表法の大枠の禁止項目の一つが「不当な表示の禁止」です。これは価格や品質など、商品・サービスの購入を促すさまざまな表示情報についての禁止事項を示したもの。つまりこの項目で禁止されるのは、ざっくり申し上げれば「事実以上に著しく商品・サービスが良く見えてしまう表示」だと言えます。

なぜ「見えてしまう」という表現を使うかというと、故意でなくても知らず知らずのうちに、この禁止条件に当てはまってしまう場合があるからです。それはおいおいご紹介します。

 

ここでいう「表示」とは、チラシやパンフレット、新聞や雑誌などといった出版物はもちろん、容器やパッケージ、ポスターや実演販売、セールストークに至るまで、情報を表示するさまざまな媒体を指しています。もちろん今ご覧になっているインターネット上での広告やメールなども「表示」の対象となります。

 

では「不当な表示」とはどういった表示を指すのでしょうか?消費者庁は「不当な表示」は大きく3つに大別されると明記しています。

 

2-1.優良誤認表示の禁止

《概要》

消費者庁発行の「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」によると、優良誤認表示の禁止とは『商品・サービスの品質、規格、その他の内容についての不当表示』だと明記されています。

具体的には以下のような項目が、この内容に当たります。

  • 商品・サービスの品質:原材料、純度、添加物、効能、鮮度、栄養価など
  • 規格:国や地方公共団体が定めた規格、等級、基準など
  • その他の内容:原産地、有効期限、製造方法など

引用元:不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック

 

《主な違反事例》

  • 牛肉の産地やブランドが表記と違っていた
  • 「果汁100%」と書かれているが、本当は果汁50%のジュースだった
  • 「当社だけの独自技術」と書かれているが、実は一般的な技術を採用したパソコンだった
  • 「12kg痩せました!」と書かれているが、実は減量は6kgだったダイエットサプリの広告

なんだかどこかで見たことのあるような事例が並んでいますが、これらはすべて「優良誤認表示の禁止」に抵触する表記です。

ニュースなどで話題になった有名ホテルの産地偽装などは、まさにこの部分に抵触するというわけです。

 

これらは故意に行わなければ抵触しないとお考えかもしれませんが、下記のような場合も「優良誤認表示の禁止」に抵触することがあります。

  • 下請け業者に商品製造を委託していたが、知らない間に代替原料が使われていた
  • 知らない間に取り扱い原料のグレードが下がっていた

調べれば分かる、と思われるかもしれませんが、意外と起こりうる事例ですので、マーケティング担当者はこうした事例があることも知っておいた方がよいでしょう。

 

2-2.有利誤認表示の禁止

《概要》

消費者庁発行の「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」によると、『価格や取引条件に関して、著しく有利であると誤認される表示』を有利誤認表示だと位置づけています。ここで言う取引条件とは、数量やアフターサービス、保証期間や支払い条件などを指しています。

また、大手ECサイトで問題になったこともある二重表示に関しても、この有利誤認表示に該当します。

 

《主な違反事例》

  • 「今なら50%OFF」と謳っている商品が、常にその金額で販売されている
  • 「安さ地域No.1」という看板が掲げられているが、根拠がない(実際に価格調査を行わずに謳っている)
  • 実際は割引サービス適用で他社のほうが安くなるのにもかかわらず、サービス適用前の価格で比較しランキング表示を行っていた
  • メーカー希望小売価格の設定がないのに、「メーカー希望小売価格から半額!」という広告を出す

特にECサイトを運営している会社の場合、商品販売ページを作る際に、メーカー希望小売価格の入力を求められることは少なくありません。

実際の販売価格を安く見せるために、故意にメーカー希望小売価格を変えるのはもちろんのこと、データの一括登録などで入力をミスして登録が違っている場合も、禁止事項に抵触してしまう場合がありますので注意が必要です。

 

2-3.その他 誤認される恐れのある表示の禁止

《概要》

「優良誤認表示の禁止」および「有利誤認表示の禁止」のいずれかに当てはまらない事例のうち、『まぎらわしい、または正しい判別を困難にさせる表示』にあたる事例を指します。かなり幅の広い表現ですが、代表的なものとして以下のような事例が挙げられます。

 

《主な違反事例》

  • 原産国の表示がないが、イギリスの国旗がプリントされている(原産国の誤解を招く)
  • 実際に存在しない物件が不動産会社のインターネットや広告に掲載されている…A
  • はじめから商品を用意していないにもかかわらず、売り切れ表示になっている…B

特にA、Bの事例は「おとり広告」と呼ばれており、故意でなくても結果的に抵触する事態に陥る場合があります。

例えば本社でキャンペーンを打ったものの、支店に情報が伝わっておらず、在庫が切れていたという場合も、おとり広告に抵触する場合があります。

 

3.「過大な景品類の提供」禁止の概要とその違反事例

《このカテゴリのポイント》

  1. 景品には懸賞類や懸賞方法によって、最高額や総額の取り決めがある

主に商品やサービスの表示に関する禁止事項を示した「不当な表示」以外に、もう一つ景表法が定める禁止項目があります。それが「過大な景品類の提供禁止」です。

これはキャンペーンへの参加や福引きなどによって発生する景品の最高金額や総額などを取り締まるもの。応募者全員サービスや会員登録特典などによって消費者に商品や金銭を提供した場合、その提供物が「景品類」となります。

景品に取り決めがあるなんて知らなかった、という方もいらっしゃるかもしれませんが、要は過剰な景品(見返り)によって、消費者が質の悪いサービスや明らかに相場以上の商品を購入することを防ぐ項目とお考えください。

「過大な景品類の提供」については、景品類や懸賞方法によって大きく3つの種類に分けられます。

 

3-1.一般懸賞

《概要》

該当商品やサービスの利用者に対して、クイズの回答や競技の優劣など、『偶然性、特定行為の優劣』などによって景品を提供する懸賞を指します。

 

《該当懸賞事例》

  • コンテスト優勝者に賞金を用意する
  • 購入商品に付いているシールを集めて応募すると物品が当たる

 

《景品類の限度額》

  • 懸賞による取引価格が5,000円未満の場合

最高額⇒取引価格の約20倍

総額⇒懸賞に係る売上予定総額の2%

  • 懸賞による取引価格が5,000円以上の場合

最高額⇒10万円
総額⇒懸賞に係る売上予定総額の2%

 

3-2.共同懸賞

《概要》

一定の地域または業界の事業者が共同で景品類を提供する場合の懸賞を指します。

《該当懸賞事例》

  • 商店街の福引き

《景品類の限度額》

最高額⇒取引価額にかかわらず30万円
限度額⇒懸賞に係る売上予定総額の3%

 

3-3.総付景品

《概要》

商品・サービスを利用した方や来店した方にもれなく提供される景品類を指します。ただし、商品サンプルの配布や自店・自他共通で使用できる割引券、開店披露や創業記念などで提供される記念品については、景品規制は適応されません。

《該当懸賞事例》

  • 来店者にもれなくボックスティッシュをプレゼント
  • 先着10名様にプレゼント

《景品類の限度額》

  • 取引金額が1,000円未満の場合

景品類の最高額⇒200円

  • 取引金額が1,000円以上の場合

景品類の最高額⇒価額の10分の2

その他にも「公正競争規約」といって、各業界ごとに自主的に決めているルールも存在します。

例えばレギュラーコーヒーには原材料の原産地を入れたり、食肉には部位を表記するなどが公正競争規約に基づく表記に当ります。食品や店舗などに「公正」というマークが付いていることがありますが、これは公正競争規約に準じていることを表す信頼のマークと言えます。公正競争規約については公正取引協議会がその運用を行っています。

あなたの業界にも公正競争規約があるかもしれません。一度確認してみるといいでしょう。

 

4.景品表示法に違反すると…

《このカテゴリのポイント》

  1. 景表法に違反した場合、一般消費者に違反を周知徹底する内容を含めた措置命令が下ることもある
  2. 過去の違反行為であっても措置命令の対象になることがある

 

万一景表法に違反した場合は、消費者庁による調査が行われます。調査の結果、警告で終わる場合もあれば、措置命令が下される場合もあります。
措置命令が下された場合、以下の4点が命じられます。

  • 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
  • 再発防止策を講ずること
  • その違反行為を将来繰り返さないこと
  • その他必要な事項

 

また、すでに違反行為が行われていない場合にも措置命令が適用される場合があるので、過去の事例で消費者からの信用を失うこともあります。一度失った信用を取り戻すのは、たとえ大手企業であってもかなり難しいこと。

そういった意味でも、マーケティング担当者は景表法について知識を深めておく必要があるのです。

 

5.2014年の改正案 知らないでは済まされないその内容とは?

《このカテゴリのポイント》

  1. 事業者の表示管理の体制明確化の義務付けがなされる
  2. 管理体制が不十分だった場合、事業者名公表の可能性も

そんな景表法ですが、2014年3月に改正景品表示法が可決、成立したことはご存じですか?
これは当時社会問題にも発展した、度重なる食材の虚偽表示問題を受けての対応です。

主に以下3点の内容が大きく変わっています。

《改正案のポイント》

  • 事業者の表示管理体制を明確化する義務付け
  • 措置命令が都道府県単位で出せるようになった(これまでは消費者庁のみが措置命令を出せた)
  • 課徴金制度(施行後1年以内の導入を目指す)

特に重要なのが「事業者の表示管理体制を明確化する義務付け」です。

これまでは措置命令が出てからでないと、違反企業の名前は公表されませんでした。しかし今後は事業者側の表示管理体制が不十分であると判断され、かつ勧告の後も改善が見られなかった時点で、事業名を公表することができるようになります。

しかも、これまで省庁単位でしか出せなかった措置命令が都道府県単位で出せるようになり、より調査がスムーズに進むことが予想されます。

 

つまり、現状表示管理体制が整っていない企業は、すぐさまその体制を整える必要があるということです。

また詳細は決定していないものの、課徴金制度も設けられることになっており、これまで以上に「景表法違反者許すまじ」という国の体制があらわになっています。

措置命令はもちろん、勧告や公表、課徴金を受けないためにも、表示管理体制に対する早期の対応が求められているのです。

 

おわりに

故意でこうした禁止行為を行うことは言語道断ですが、故意でなくてもこうした禁止行為に抵触する場合があるというのが景表法の怖いところです。

過去こうした禁止行為に抵触する行為を行い、企業としての信頼が失墜した企業は数知れません。消費者庁発行の「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック」にはさらに詳しい情報がわかりやすく掲載されていますので、もっと詳しく景表法について知りたいという方は、このガイドブックを参考にしてみてはいかがでしょうか。