「WEBマーケティングに必要な人材とは」と聞かれた時、あなたならどう答えますか?
ご自身の経験からでも構いません。
入社の際に重視されたポイントはどこだったでしょうか?
推測でも構いません。
「自分のここを気に入ってくれたのだろう」と思い当るところはどこですか?
仮に転職する際に重視されそうだと思われるのはどこでしょうか?
「スキルです」と胸を張って言える人は、とても幸せなビジネスパーソンです。
WEBマーケティングは、それに関わる多くの人たちの知識や能力によって遂行されています。
今回は、このWEBマーケティングに臨む際に保持しておきたい資格について考えて行こうと思います。
Contents
1.WEBマーケティングの現場で求められる人物像
WEBマーケティングを進めるに当たり、現場で求められている人物像を考えてみたいと思います。
まずこれを踏まえることで、自分自身が取得すべき資格が見えてくるかもしれません。
1-1.コミュニケーション
自社・受託いずれにしてもWEBサイトの持ち主や、それに関連する部署、時には外注スタッフとの意思疎通が仕事の要となります。
ある調査によると、「業種に関わらず仕事の80%が他の人との関わりを必要としている」という結果が出ています。
特に受託の場合はこの意思疎通の力が特に求められるでしょう。
このコミュニケーション力こそが、WEBマーケティングの基本なのです。
1-2.企画・提案
既に粗方の品物が出揃っている現代。
この時代背景を背負っている以上は、消費者ニーズに合わせて商品を作る(もしくはブラッシュアップする)「マーケット・イン」という考え方が主流です。
そのため、時流やニーズの分析、マーケット動向を理解する事、その分析によって導き出された仮説をコンテンツとしてまとめ上げる力が必要です。
つまり、企画・提案という力がWEBマーケティングの原動力となっていると言ってもいいでしょう。
1-3.マネジメント
統率を図る力のこと。
コミュニケーションにより知り得た情報や、各スタッフの持つ能力を引き出し、うまく組み合わせることにより目指す方向へと導く力、と言うべきものです。
個々のスタッフの性格にまで思慮が及ぶ観察力を基本に、どのようにそれぞれの力をアレンジすればよいかを常に考えることのできる「最適化」が求められる立場です。
2.スタッフが個々で取得を目指したい資格8選
最初からマネジメントの立場に立つことはないでしょうから、一スタッフとして取得を目指してみたい資格を取り上げてみたいと思います。
資格とはつまり、あなた自身の実力を裏打ちしてくれる「バッヂ」のようなもの。
会社に取得を促される以前に、自分自身のスキルに自信を持つためにもチャレンジしてみたいでしょう。
以下にあげるものの中には、直接あなたがタッチしている仕事に役立つ資格がきっと見つかるはずです。
(データは2014年12月現在)
2-1.Webライター技能士検定
どのような立場でWEBマーケティングに携わろうとも、コミュニケーション力として「書く力」は基本と言えます。
先にも述べた通り、「仕事の80%は他の人とのかかわり」でできています。
その80%の中でも、近年ではメールやチャットなど、テキストベースでやり取りをすることがほとんど、というケースもあるでしょう。
正しい言葉をつかえることは、それだけでも貴重な能力と言えます。
このWebライター技能士検定では、受験課目として
- 国語、文章→日本語能力
- ウェブライティング→ウェブ特有のライティングスキル
- コピーライティングとメールライティング
- SEO→検索エンジン最適化
- 一般常識・法律と炎上対策
が挙げられています。
受験には全員に同じ問題が出されますが、その回答率により以下の級に分けられます。
- 1級:一般的な仕事はもちろん、高度な仕事もできるトップレベルのスキルを持つ
- 2級:一般的な仕事を行う上で充分なスキルを持つ
- 3級:一般的な仕事を行う上で最低限のスキルを持つ
ですが、残念なことに3級の基準を満たさなかった場合は資格取得へは至ることができません。
2-2.Webアナリスト検定
Webサイト運営にあたり、Web解析をはじめとした「分析力」は必須条件でしょう。
そして、その解析をもとに問題の発見をし、改善策を立てなければなりません。
これらを日々コツコツと実行することで、売り上げ目標に対して、その目標を達成する方法を実地で身に着けることができるようになります。
この「分析力」を時流に合わせて学び、資格として実力を確認するのがこの「Webアナリスト検定」です。
これまでは、Web解析を中心とした内容でしたが、時流に合わせ「デジタルマーケティング」を意識したカリキュラムへ変更されています。
- トリプルメディアの考え方
- オウンドメディア(Web解析、CRM分析)
- ペイドメディア(広告効果測定)
- アーンドメディア(ソーシャルメディア分析)
などが顕著だと言えます。
2-3.マーケティング・ビジネス実務検定
業種・業界にとらわれず、幅広い共通のマーケティング知識を身に着けることができる資格です。
A級・準A級・B級・C級に分類されていて、順を追って級を上げてゆくことができます。
長期的に見た時のスキルアップに適した資格制度と言ってもよいでしょう。
入り口であるC級ではIT関連の受験者が23%(業種割合3位)、B級では24%(業種割合2位)と比較的注目されている資格と言えるかもしれません。
年に3回の試験があり、事前の対策講座も用意されていることから、忙しい人にも自分のペースで資格取得に向けての準備ができそうです。
国際実務マーケティング協会
費用;
- C級5,980円(税込)
- B級7,150円(税込)
- C級B級併願13,130円(税込)
テキストや過去問題集は各種あり(HPにて)
2-4.ネットマーケティング検定
マーケティングは紙媒体からネットへと変遷してきました。
この変化に対応するために、この資格制度が設けられました。
システムエンジニアなど、コンピュータに詳しい人がこれまで担ってきた役割も、専任のWebマーケティング担当者にバトンタッチされています。
マーケティングリサーチからサイト構築、SEOやSEMに至るまで幅広く担うことになったWebマーケティング担当者。
「日本情報処理教育普及協会」「日本ソフトウェア教育協会」「マルチメディアクリエイター教育普及協会」「Web利用・技術検定協会」「日本ホテル実務教育協会」の5団体が平成13年に株式会社サーティファイを設立し、教育活動に力を入れてきた背景があります。
平成23年度末時点での受験者数は14.7万人、試験実施会場は約1,500会場と、規模・認知度ともに高い資格制度と言えるでしょう。
ネットマーケティングの知識・ファシリテート能力・Webブランディング能力などの認定という位置づけですから、実務面で更にスキルアップしたい人にお勧めの資格です。
2-5.ネットショップ実務士
より顧客に近い立場の人におすすめしたいのが、このネットショップ実務士。
おおまかに、入門編の「ネットショップ実務士補」から「ネットショップ実務士L5」までの6段階に分類されており、このうち「レベル1」「レベル2」が試験により認定されます。
レベル3では適正な実践能力(優良ネットショップでの勤務実績)ないしは「実績認定対象講座」の受講が求められます。
レベル4・5は現在準備中。
今後の広がりを期待できる資格と言ってもいいでしょう。
実施委員の企業を見ると、知らない人はいないと言ってもいい会社ばかりです。
これらの企業で共通して求められる人材を育成する資格制度という側面を考えると、今すぐの受験は考えていなくても、目が離せないものです。
2-6.Google Partner認定試験
今やWebマーケターが意識せざるを得ない存在がGoogle。
このGoogle AdWordsに精通した証である「Google Partner認定試験」は、もう既に受験したい資格の候補にあがっていることでしょう。
Googleのサービスに精通していることに加え、効率の良い広告掲載の手法、広告とサイトの品質の管理、掲載結果の最適化にいたるまで、トータルにアドバイスできる能力を認められた人に与えられる資格です。
常に変動する環境に対応するため、12 か月ごとの認定試験に合格しなければなりません。
2-7.Internet Marketing Analyst検定(IMA検)
より実務にフィットした検定として知られているIMA検。
「Standardコース」でネットによる集客やアクセス分析、課題抽出を学びます。
後「Professionalコース」で多くの広告配信方法やレポート作成を身に着けることができます。
eラーニングで都合の良い時に学べることや、試験も資料とネット閲覧を認めているなどの特色があります。
今や、ネットという集合知を利用しない場面を探す方が難しい状況です。
そういった意味では、「ネットで自ら回答を探す・それから得た情報をもとに仮説を立てる」というより実務に沿った資格試験と言えるのではないでしょうか。
このIMA検が更に面白いところは、このIMA検合格者限定の求人情報を提供している事です。
無料体験講座も用意されているので、取り組む前にどんなものかを調べてみたい方も安心です。
クラウドマネージメント協会
費用;
- 「Standardコース」受講18,000円(税別)+認定料5,000円(税別)
- 「Professionalコース」受講25,000円(税別)+認定料5,000円(税別)
2-8.ウェブ解析士
解析に基づいてPDCAサイクルを回してゆく―とは既に当たり前となってしまった言葉ですが、そのもともとの部分である「ウェブ解析」をメインに身に着けるための資格制度です。
比較的歴史のある資格だと認識されている上に、「初級ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」「ウェブ解析士マスター」の三段階の資格制度で、自分の業務に必要なレベルを確認することができます。
特に「ウェブ解析士マスター」ともなると、「自らが講師として独自に講義を開設し、教育機関(大学・専門学校、職業訓練校等)や企業(出張・社内研修等)で認定講座の講義と指導を行うことを可能にする」と定義されている通り、自社内での講習会を始め、社外でも自分自身が講師となれることから、一目置かれる存在となれるかもしれません。
一般社団法人ウェブ解析士協会
費用;
- 初級ウェブ解析士21,600円(税込)・試験+テキスト+DVD
- 上級ウェブ解析士86,400円(税込)
- ウェブ解析士マスター324,000円(税込)
※別途年会費が必要
スキルが見えづらいWebの世界だからこそ、資格
実務経験の中から得たスキルというものは、外部からの判定がしづらいものとも言えます。
たとえそれが実践に即したものであっても、ポートフォリオとして提出しづらいケースもあるでしょう。
これらの悩みを解消してくれるのが資格制度です。
自分自身が身に着けてきたことが正しかったのかの理解、また今後どのように今持つスキルを伸ばして行けば良いのかの指針ともなってくれるでしょう。
胸を張って「自分にはこういったことができます」ということの証明ですから、会社に促されずとも自分自身で積極的にトライしてみたいところです。
自分自身の腕に自信を持つためにも、是非一度、資格取得を検討してみてください。
追加情報;
大手メーカーがマーケティングに関わる人材をどう採用しているのか、そしてその苦悩について書かれたコラムが興味深いです。
Webマーケティングには直結していないものの、示唆に富んだ内容。
「前篇」「後編」ともにお読みください。