プロダクトローンチのエバーグリーン化?いまさら聞けないことをざっくり解説

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自社の製品を売ろうとするとき、「猛烈に売り込みしたくなる」のは当然のことです。しかしながら、今現在“売ろう、売ろう”とするアピール法が嫌われてしまうのは既にご存じの通りです。

「せっかく作り上げた新商品を、型落ちになる前にタイミングよく買ってほしい」、「販売側と購入者のタイミングのズレを解消したい」―マーケティングに携わる方ならば、それが一番の願いなのではないでしょうか。

商品が“旬”であるのは、販売が開始されたそのときです。それまでに仕掛けておくものがプロダクトローンチです。

今回はこのプロダクトローンチの考え方と、エバーグリーン化(プロダクトローンチを行い続けるための手法)についてご説明します。

1.「大ヒット」はプロダクトローンチで売り込まれている

プロダクトローンチやそのエバーグリーン化について具体的にお話する前に、私たちが日頃接しているプロダクトローンチの例についてお伝えします。

1-1.映画公開前のプロモーション

近年、映画封切り前に、テレビやネットで予告編が流されています。私たちはそれを目にし、自分自身関心を持てるものかどうかをある程度判定します。その予告編が流れ始めたと思うと、様々な番組に役者が登場し、いわゆる“営業活動”をしながらさらに感心を高めていきます。

一部の劇場では、舞台挨拶といった「プレミア感」がつけられることもありますし、前売り券を買うと何がしかのグッズが手に入ることもあります。

1-2.新商品に関する「比較記事」「リーク」

パソコンやタブレットなどのデジタル系商品の場合であれば、価格.comマガジンといった大手サイトで「発売前に3商品を借りてテストしてみました」などの比較記事となることがあります。

同じメーカーの類似商品であっても、商品ラインによっては使い方によって向き不向きがあります。よりよいチョイスをしてもらうためにメーカーがこれらサイトに商品を提供、第三者的に使い勝手を比較してもらうのです。

ときに、多くのファンを持つブロガーに商品をテストしてもらうこともあります。このような人たちは「インフルエンサー(影響力の大きな人)」と呼ばれ、彼らに協力してもらうことをインフルエンサーマーケティングと呼びますが、これをプロダクトローンチの一環として行うこともあります。

それとは逆の方向でありながら、プロダクトローンチと考えられているのが「新型○○はこんな外観らしい」といったリーク形態の情報提供です。いずれにせよ、プロダクト(商品やサービス)が発売される前に情報を小出しにし、エンドユーザーとなるであろう人たちの関心を少しずつ高めていきます。

2.プロダクトローンチは「計画的に」

これらの例を見ると、共通しているのは「計画的に行われていること」です。情報を出すタイミング、関心をかき立てる画像や文章の用意という大きくふたつの要素で成り立っています。

2-1.情報を出す分量・タイミングの計画

商品やサービスを発売する日をゴールと定め、それに合うよう情報を“細切れ”に出すタイミングと分量を検討します。1週間に1度なのか、1週間に数度なのか、など、競合となる商品・サービスを提供している企業が行うプロダクトローンチ手法を分析してみてください。

2-2.画像や文章の用意

折にふれ、回数を分けて情報を小出しにするのがプロダクトローンチの基本的手法ですあることはご理解いただけていることと思います。ここで大きな役目を担うのが画像や文章の用意をするコンテンツ作成チームだ、ということもおわかりいただけているでしょう。

2000年頃に「セールスレター」というPR手法が流行しました。これまでの画一的な商品発売のお知らせではなく、担当者の自己紹介、その商品・サービスへの販売担当者の思い、○○に困っている方におすすめです、などFAX用紙数枚にしたためたものを企業のFAXへ送る、というものでした。

その後、多くの人が当たり前のようにインターネットに触れるようになってから形を変え、同じくセールスレターという名称で「読ませる縦長のページ(≒ランディングページ(LP))」といったものとなり残っています。

このセールスレターはとても長く、「本当に興味のある人」もしくは「時間があるからただ何となく読んでいる」という人しか付き合ってくれません。このセールスレターをいくつかのパーツに分け、適切を思えるタイミングで届ければ、まだ読み続けてもらえる可能性が高まります。これを狙うのがプロダクトローンチの基本手法です。

短い時間でさらっと読める、どんどん期待を膨らませるといった面で、適切な回数・最適なコンテンツが必要なのです。単純に縦長のセールスレターを“ぶつ切り”しただけでは読者の印象には残りません。物語(ストーリー)を感じるよう適度に“味付け”をしたり、他の商品・サービスとは大きく異なる点を盛り込むなど、読み手の脳裏に残るものを1回にひとつは必ず用意します。

全ては、「次もまた読みたい」と思わせるためです。

3.「売る」のではなく、「ファンを増やす」

まず、この調査をご覧ください。

■図1(30代・40代の金銭感覚についての意識調査2018│SMBCコンシューマーファイナンス)

図1
http://www.smbc-cf.com/news/news_20180306_917.html

ここ数年の話題は「インスタ映え」であることはご存じの通りです。このインスタ映えは、「自分自身を高く見せる行為」として捉えている方も少なくありませんが、どうもそうではないようです。他に、スキルアップ、美容などその経験から自分を高めたい、という消費ニーズも存在することがわかります。

これらは、総じて「体験を買う/共有する」と言い換えることもできるでしょう。これらSNSへの投稿に触発され、お店に人が殺到するようになったという例も少なくないことはご存じの通りです。店へ足を運ぶ前から、既に「ファンになっている」状態なのです。

3-1. 参考にしたい企業の例

購買意欲を刺激するためには、まず「ファンを増やす」ことが大切です。この点で適切にコンテンツのコントロールができている例として、次の企業が挙げられます。

3-1-1.HERZ(ヘルツ)

ドラマなどに商品提供している革製品メーカーHERZは、ひとつの商品が出来上がるまでのストーリーをブログで上手に見せています。

■図2(工房・作り手のこと│HERZ)

図2
https://www.herz-bag.jp/special/factory/

ときに、新商品が完成するまでのステップを連続して公開することもあります。一般的なビジネスバッグならば3万5,000円~と決して安くはないものの、「ここまで手が込んでいる商品ならば買う価値がある」とさりげなく感じさせます。

まさしく、

・情報公開
・魅力を伝える
・ファンを増やす
・購買意欲を高める

という基本的かつ重要なステップを踏んでいて、まるで“とどめ”のように、「ドラマ○○で使用されました」とFacebookやTwitterで公表します。作り手の苦労や思いを伝えることで、モノを購入するというより、擬似的体験(ストーリー)を手にしたいという思いを抱かせる手法です。

4.プロダクトローンチを「エバーグリーン化」する方法

これまで、ざっくりとプロダクトローンチの方法を解説してきましたが、これらは「情報を出すタイミングががっちりと予定通りに進んでいること」が条件でした。

ネットで情報を提供するからには、「いつ、誰の目に留まるかわからない」という問題があります。この問題を解消し、どのタイミングからでもプロダクトローンチを実践するのが「エバーグリーン化」です。

エバーグリーンとは、直訳すると「常緑樹」で、常に色あせず生い茂っている状態を指し示します。いつでも、誰が見ても緑がそこにある―。ネットの世界であれば、まさしく「いつ、誰が見ても耐えられる状態」であり、どのタイミングからでもフォローしやすい状態を作っておくことを意味します。

4-1.リストを収集する

リストとは、メールアドレスのことです。対面式の営業活動でいえば顧客名簿ないしは見込み客名簿に相当するものです。

・誰でも無料でダウンロードできるニュースレター(メールアドレス入力必須)
・問い合わせフォーム

などを使いメールアドレスを入手しリスト化します。このとき、注意しなければならないのは「今後有益な情報を送ります」などの文言を提示し、メールを送る旨を明示しておくことです。

本人が許可しないメールはどんどん拒否されるだけでなく、会社のイメージを悪くします。また、本人が許可しないメールアドレスの使用は、法に触れてしまいますのでその点についてはしっかり理解しておきましょう。

■図3「請求や承諾を得ていない電子メール広告の原則禁止(オプトイン規制)│ECネットワーク」

図3
http://optin-mail.jp/no03.html

4-2.動画を用意する

もしも「書く」より「話す」ことが得意であれば、Youtubeなどの動画サイトに有益な情報をアップすることもできるでしょう。そこから公式サイトへ誘導すれば、メールアドレスの取得できるかもしれません。

また、メールアドレスそのものを取得できなかったとしても、その動画を見てチャンネル登録してもらえれば、「見る人のタイミング」で好きなときに情報収集をしてもらえる環境を整えられます。

これは「ウェビナー(WEBでのセミナー)」ともいわれ、多くの企業や個人が採用しているものです。文字よりもより“濃い情報”をいつでも見られますので、メールアドレス登録よりもこちらを好むユーザーもいます。

4-3.ステップメールの送信

初回の資料請求段階で伝えていない情報を、1週間に1度など一定の頻度で配信するのが「ステップメール」です。メールマガジンとも呼ばれていますが、大切なのは「メールアドレスを登録してからの配信のタイミングとシナリオ(分割した文章)」です。

メールマガジンを読み始めて3回目の人と、1回目の人とでは、その関心度・理解の深さが異なりますので、同じものを配信してはなりません。その人その人のタイミングに合わせて配信することから「ステップメール」と呼ばれるのもうなづけるところでしょう。

さて、このステップメールですが、読者一人ひとりに対応するのは至難の業です。これを自動的に行ってくれるのがステップメールシステムです。

「ステップメール 無料」で検索するといくつかのサービスがヒットしますので、読者数や配信頻度、登録できるシナリオ数などの条件に合うものをチョイスしましょう。

4-4.LPないしは公式サイトの情報を定期的に更新する

いくらエバーグリーン化するとはいっても、LPや公式サイトが手入れのなされていないものであれば、読者の熱もすぐに冷めてしまいます。

365日24時間対応できるものとするため、

・季節を問う商品・サービスであれば適宜書き換えておく
・特に季節を問わないものであれば、徹底して季節感を排除しておく

ことに留意します。

まとめ

プロダクトローンチは、「ファンを増やし、その結果としてモノ・サービスを売る」という手法です。また、それを365日・24時間いつでも行うことをエバーグリーン化と呼びます。これを組み合わせて行うことで、顧客ないしは見込み客一人ひとりに対応しなくとも済むようになるというメリットがあります。

とはいえ、プロダクトローンチを実施するまでには素材(LP/公式サイト/セールスレターないしは動画/リスト)が必要で、それらが適切に連動するよう設計しなければなりません。

労力はかかりますが、これらの仕組みを作り、適宜手直しすることで「ほとんど労力のかからないセールスツール」が出来上がるのも事実です。

追加でお伝えしたいことは、見込み客の心理に刺さるコンテンツ作りです。これについては「相手を説得する方法│誰でも一瞬で説得力を増すテクニック」や「【必見】行動心理学とマーケティングの関係―すぐに使える27のテクニック」

も参考にしてください