「BtoBでもSNSマーケティングは効果があるの?」
「BtoBで利用するのはどのSNSがいいのか知りたい」
このようにお考えではないでしょうか?
SNSマーケティングは、BtoC企業においてはもはや必須のデジタル施策となりましたが、BtoBで効果があるのかわからない方が多くいます。しかし、SNSマーケティングはBtoB企業にとっても効果的な施策であり、競合に先んじられると取り残されてしまうかもしれません。
この記事では、BtoB企業におけるSNSマーケティングの効果と事例、実施手順などを解説します。
5分ほど時間をとって読んでいただくことで、BtoB企業でのSNSマーケティングの効果がわかり、スムーズに施策をスタートできるようになります。
SNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSを企業のマーケティングに用いることを指します。見込み客であるフォロワーと中長期的に、継続的なコミュニケーションをとることでファン化させることが目的です。
ファン化に成功すると、やがてサービスを導入するタイミングが来たときに、「Twitterでいつも見ている○○社のサービスは候補に入れておこう」と想起させ、検討の土台に上げてもらう効果が期待できます。
しかし、SNSはフォロワーが少ない初期段階においては、効果を感じにくいことが特徴です。フォロワーが一定数に達するまで、有益なコンテンツを投稿し続ける粘り強さが求められます。
SNSマーケティングの効果
SNSマーケティングでは、サービスを検討するタイミングで自社を想起させ、検討の土台に上げる効果があると述べました。ここでは他に考えられる、SNSマーケティングの効果を3つ紹介します。
見込み客のロイヤリティ向上
SNSマーケティングを実践すると、見込み客のロイヤリティ向上が期待できます。これは、SNSを介し、見込み客との間に常にタッチポイントがある状態にすることで、「単純接触効果」が得られることが理由として挙げられます。
単純接触効果とは、「接触頻度が多いほど、相手から好意を持ってもらいやすくなる」心理学の法則のひとつです。連続ドラマを見ているうちに、だんだんと出演者に好意を抱くのは、単純接触効果が作用していることが原因です。
BtoCであれば、テレビCMや街頭の広告など、企業イメージを喚起させるタッチポイントが多数あります。しかしBtoBは、BtoCと異なり、見込み客とのタッチポイントはあまり多くありません。SNSマーケティングは、見込み客と接点を持ち続けることで単純接触効果を作用させ、ロイヤリティを向上させるための有効な施策のひとつなのです。
ロイヤリティが高まれば、商品やサービスの情報収集段階から、検索エンジンでの指名検索を得ることも期待できます。
情報収集を兼ねることもできる
見込み客とコミュニケーションをとるなかで、抱える悩みや課題に触れたり、サービスに対してのダイレクトな意見をもらえたりすることも、SNSマーケティングを実践するメリットのひとつです。
BtoBにおいては、ブログやメルマガなどのオウンドメディアやWEB広告などのペイドメディアを介して見込み客と接触するのが一般的です。しかしオウンドメディアやペイドメディアは、SNSとは異なり情報発信が一方的で、見込み客から反応が返ってくることはほとんどありません。
その点SNSは、双方向コミュニケーションが基本であり、見込み客の率直な反応をダイレクトに得られます。SNSで収集した情報をもとに、顧客のニーズに応じた機能の開発や新サービスのリリースを、高い精度で行うことが可能になるのです。
カスタマーサポートによる解約抑止ができる
BtoB企業がSNSをマーケティングに活用することで、カスタマーサポートをすることによる解約抑止の効果も期待できます。
SNSのユーザーは、自身の意見を率直に述べる傾向があるため、商品やサービスに対してのネガティブな投稿がなされる可能性も考えられます。不満がある人、不具合で困っている人を、自社や商品、サービス名で定期的にエゴサーチすることで早期発見できれば、瞬時にサポートが可能です。
マーケティングにおいては、新規顧客獲得は既存顧客の維持の5倍コストがかかるとされていて、既存顧客の維持が重要とされています。既存顧客の課題解決により解約を抑止できれば、結果としてLTVが向上し、事業収益のアップにつながるのです。
BtoB企業にもSNSマーケティングが効果的な理由
BtoCにおいての効果が高いとされていたSNSマーケティングは、BtoBにおいても一定の効果が見込めることを紹介してきました。ここではBtoB企業にもSNSマーケティングが効果的とされるようになった理由を解説します。
BtoB企業も情報収集プロセスがオンライン化している
BtoB企業にもSNSマーケティングが効果的な理由のひとつに、情報収集プロセスのオンライン化が急速に進んでいることが挙げられます。
かつてBtoBにおいての情報収集の中心は、展示会や御用聞き営業、テレアポなどの「対人」が中心でした。しかし高速インターネットやスマートフォンが広く普及し、BtoBにおいての情報収集プロセスも、急速にデジタルシフトしています。
2020年にメディックスが行った「IT製品選定者アンケート調査結果」を見ても、SNSを使って情報収集している層が全体の13.4%(複数回答)と無視できない結果、と言えるのではないでしょうか。
BtoBの特徴とマッチする
SNSマーケティングは、BtoBビジネス独特の「検討期間の長さ」「経済合理性の観点から、複数人により購入を決定する」といった特徴とマッチすることもポイントです。
SNSで接点を持ち、専門性の高い情報を発信し続けることで、情報収集やリストアップのフェーズにおいて、常に自社を思い出せる状態にしておくことができます。
多くのフォロワーを獲得すれば、「〇〇社はフォロワー〇〇人を持つアカウントを持っている=ノウハウを持っている」とみなしてもらえます。数値的説得力があり、競合他社との差別化を図ることが可能です。
SNSマーケティング実践の手順
SNSマーケティングを始めることは、単に企業アカウントを開設することではありません。ここからは、SNSマーケティングを実践する手順を解説します。
【ステップ1】目的を明確にする
SNSマーケティングを始めるときには、まずは目的を明確にすることが大切です。何事にでもいえることですが、目的を明確に定めたうえで施策を進めないと、手段が目的化してしまう可能性があります。
目的としては、以下のようなものが考えられます。
- SNS経由でリードを○件獲得する
- 既存顧客のLTVを○○円に引き上げる
- 商談の成功率を○○%に上げる
SNSマーケティングでよくある失敗は、フォロワーを集めることを目的としてしまうことです。SNSマーケティングを行うときには、フォロワーを集めてどうしたいのかを目的に定めるようにしましょう。
また効果検証を行うために、目的は数値化しておくことも重要です。
【ステップ2】ターゲットと提供価値を決める
SNSマーケティングの目的を決めたら、ターゲットと提供価値を考えます。「誰の」「どんな悩みを」「どのSNSで」「どのようなコンテンツで解決していくのか」を決めましょう。
ターゲットによって、どのSNSを利用するか、またとるべき戦略も異なります。詳細は次章「BtoBビジネスに使われる主なSNSの特徴」で詳しく解説します。
【ステップ3】継続的に投稿する体制を整える
SNSマーケティングにおいては、継続的にコンテンツを投稿し続ける体制作りも重要です。
SNSマーケティングは、継続することでのみ成果が得られます。しかし、コンテンツを投稿しても反響がなく、なかなかフォロワーが増えない初期段階では、モチベーションを維持することが困難です。ここを乗り越えられず、自然消滅する企業SNSは、実は少なくありません。
SNSは、フォロワー数が一定に達すると、一気に増加する傾向があります。専任担当をつける、一部タスクを外注するなど、粘り強く継続する体制を構築するようにしてください。
【ステップ4】PDCAを回していく
SNSのアカウントを開設したら、効果検証しながらPDCAを回していくようにしましょう。
コンテンツを継続的に投稿していくうちに、フォロワー受けするコンテンツとそうでないコンテンツの傾向がつかめます。フォロワー受けするコンテンツを分析し、フォーマット化して横展開することで、反響数を増やすことが可能です。
各SNSでは、管理画面に各投稿の反響数などを確認できるアナリティクス機能が備わっているため、積極的に活用して分析することが大切です。
BtoBビジネスに使われる主なSNSの特徴
BtoBビジネスでは、主に以下の4つのSNSが利用されます。
- YouTube
それぞれ特徴が異なり、ターゲットにあわせてどのSNSを利用するかを決めることが大切です。総務省の「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」のデータも交え、各SNSの特徴を紹介していきます。
Twitterは、「短文投稿」「匿名登録可能」といった気軽さが受け、日本においてもっとも多くのアクティブユーザー数を持つSNSのひとつです。総務省のデータによると、全年代平均で38.7%の人がTwitterを利用しています。特に10代、20代は約70%近い利用率を誇ります。
BtoBにおいては、若年層へのアピールは効果がないと思われがちですが、決定権はないにしても、情報収集は若い年代に任されることが多い事実は見落とせません。少し古いデータになりますが、Googleが2014年に実施した調査によると、BtoBの情報収集担当者の約半数は、35歳以下の「デジタルネイティブ世代」であることがわかっています。
Twitterはリツイート機能による拡散性が高いことから、情報の伝播・フォロワー数の増加は、コツさえつかめば効果的に実行できます。BtoBにおいても活用する企業が増えてきているSNSです。
TwitterのBtoB事例「フセハツ工業」
フセハツ工業は、大阪府東大阪市にあるばねのメーカーです。製品の一部品である「ばね」を作り上げる工程や、完成品をTwitterに投稿することで、自社製品の認知向上に役立てています。なかなか日の目を見ることのない地味な製品も、印象的な動画などを用いることで拡散され、認知を高めることが可能です。
こんにちは😃✨
本日は「VF-830α」で布団バサミ用のばねを巻いていました👍✊#ばね #spring #中小企業#ものづくり #製造業 #フセハツ工業 #東大阪市 #町工場 #動画https://t.co/Edtka0RtxC pic.twitter.com/lZddwJeNHg
— ばねのフセハツ工業 (@fhk2014_kk) August 27, 2020
Facebookは、「ビジネス目的メイン」「実名登録」といった特徴から考えると、Twitterとは対極にあるSNSです。総務省の調査では、全世代平均で32.7%の人が利用しており、30代が48.2%と突出していることを除けば、20代〜30代まで30〜40%と、幅広い年代から支持を得ていることがわかります。
Facebookでは、いいねやコメントといった機能を使ってアクションすることで意思表示ができます。しかし企業アカウントに対しアクションを起こすと、「自社に関心がある」と思われ、営業されるかもしれないという心理がユーザーには働きがちです。そのため、課題認知・情報収集プロセスの見込み客に対する情報の拡散性は低いと考えられます。
一方で、購買プロセスがある程度進んだ、比較・検討プロセスの見込み客に「導入事例」「お役立ち資料」などをシェアするのには適しています。
また、実名登録するために一定レベルのプロフィール情報を入力することから、Facebook広告は精度の高いターゲティング広告を配信することも可能です。業界や役職を絞り込めるため、BtoBにおいては決裁者に効率的にアプローチできるでしょう。
FacebookのBtoB事例「SanSan株式会社」
SanSanは東京都渋谷区に本社を置く企業向けクラウド名詞管理サービスの会社です。Facebookでは、他社との連携や機能・性能改善の情報、導入事例などを紹介。「こんな機能ができたのか」「あの企業も導入したのか」と思わせることで、検討段階にある見込み客にアピールすることに成功しています。
【Sansan初の統合報告書を公開しました】
「統合報告書2020」を公開しました。事業概況や成長戦略に加え、各取締役のインタビューを通して、当社グループの取り組みをわかりやすくお伝えすることを目指しました。ぜひ、ご覧ください。
<日本語>...Sansanさんの投稿 2021年1月5日火曜日
Instagramは、写真や動画を使ったコミュニケーションが中心のSNSです。総務省の調査では、全年代平均で37.8%、10〜20代においては約64%、30代でも48.6%とミレニアム世代に人気です。
BtoBにおいては、商品やサービスの認知獲得よりも、企業の社風やビジョンを視覚的に訴求することで、ブランディング目的に活用する企業が多いことが特徴です。
InstagramのBtoB事例「株式会社デンソー」
株式会社デンソーは、愛知県刈谷市に本社を置く自動車部品メーカーです。Instagramでは、製品ではなく社員にスポットをあてた投稿を中心にすることで、顔の見えにくいBtoB企業のデメリットを解消し、親近感を持たせることに成功しています。投稿すべてに英訳を添えることで、グローバル展開を視野に入れていることが印象づけられます。
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YouTube
動画コンテンツを配信するYouTubeは、親近感を抱いてもらいながら、わかりやすく情報を伝えられるSNSです。総務省の調査では、全年代で76.4%、10〜30代に至っては85.4〜93.7%と利用率が非常に高いことが特徴です。
YouTubeは、BtoCでの利用が多く、BtoBにおける参入企業はまだ多くないため、先行者利益を得やすいと考えられます。業界の最新情報やノウハウを発信することで情報収集フェーズにある層に対して、アプローチすることができます。
YouTubeのBtoB事例「株式会社CINC 副社長 平さん」
株式会社CINCの平さんは、Webマーケティングの現場で得たノウハウや最新トレンドを、動画でわかりやすく発信するチャンネルを運営しています。最新トレンドは粘着性の高いコンテンツですので、見込み客をリピーター化することができ、「Webマーケティングのことは、CINCの平さん」のようなブランディングにも貢献していると予想されます。
SNSマーケティングの注意点
BtoB企業がSNSマーケティングを実践するときには、以下の点に注意が必要です。
- 自社の宣伝は控える
- フォローするだけの価値あるコンテンツを投稿する
- 誰かを傷つけることにならないか常に細心の注意を払う
それぞれ詳しく説明します。
自社の宣伝は控える
SNSの企業アカウントにおいては、自社の宣伝を控えることが大切です。
SNSマーケティングは、本記事でも解説してきたように、見込み客のロイヤリティを高めることが目的です。営業ツールととらえ、積極的に自社の宣伝をするなどプッシュ型のアプローチを行うと、そっぽを向かれてしまうでしょう。
アカウントをフォローしてくれるような見込み客は、サービスへの関心が高まれば、自らアクションを起こします。企業側は、見込み客がスムーズにアクションを起こせるよう、プロフィールにリンクを掲載する、固定ツイートを利用するなど、きっちりと導線を用意することを意識するようにしましょう。
フォローするだけの価値あるコンテンツを投稿する
BtoB企業のSNSアカウントには、フォローする価値のある、有益なコンテンツだけを投稿することにも注意しましょう。
BtoC、BtoBのどちらにおいても、企業アカウントをフォローするのは、興味があるから、情報収集のためと、その目的はさまざまです。しかし特にBtoBアカウントのフォロワーで将来の顧客となるのは、情報収集でフォローしてくれている見込み客です。
そのためSNSにおいても、有益な情報を投稿し、見込み客を満足させることが重要になります。間違っても「スタッフとランチ中」といった、日常のできごとばかりを投稿しないようにしてください。そのような投稿でフォロワーを増やせるのは、すでに注目を集めている芸能人や有名人だけだと認識しましょう。
また、SNSマーケティングの最終的な目的は、単にフォロワー数を増やすことではなく、企業の収益につなげることであることも、常に意識する必要があります。
誰かを傷つけることにならないか常に細心の注意を払う
SNSはその拡散性が魅力ですが、一歩間違えると炎上の危険がつきまといます。そのため、コンテンツを発信するときには、誰かを傷つけることにならないか、常に細心の注意を払うようにしましょう。
配慮が足らずに炎上してしまうと、企業イメージを致命的に損なう可能性があります。投稿するコンテンツのトンマナや投稿ルールを定め、投稿する際には複数人でダブルチェックを行うなど、できるだけ慎重に取り組むようにしてください。
まとめ
BtoB企業における、SNSマーケティングの効果と実施手順などを紹介してきました。
- SNSマーケティングは見込み客と継続的に交流しファン化させることが目的
- フォロワーを集めてどうしたいのか、目的を明確に定めることが重要
- それぞれの特徴を踏まえ、ターゲットや目的にあったSNSを選ぶことが大切
SNSマーケティングは、BtoBでは効果が見込めないと思われがちですが、目的を明確にして取り組めば、見込み客の高いロイヤリティを獲得できる有効な施策です。ただしフォロワーの数が一定数に達するまでは反応も少ないため、モチベーションを維持することが難しくもあります。
SNSマーケティングは、継続することによってのみ成果が出ます。取り組むBtoB企業が少ない今こそが、競合に先んじるチャンスです。本記事を参考に、ぜひSNSマーケティングに取り組んでみてください。