相手を説得する方法|誰でも一瞬で説得力を増すテクニック10

相手を説得する方法

説得とは、相手の心を動かし、共感してもらい、納得してもらうこと。相手を自分の思った通りに動かすことは不可能です。自分自身でさえ、自分の考えた通りには動いてくれないのは皆様既にご経験の通り。その作業を、自分以外の他人に対して行おうとするのですから、説得はとても骨が折れることですし、テクニックが必要です。

プレゼンテーションを始め、日頃のチームワークの中でも活用できる技術。これこそが、説得力です。100%完璧な合意は難しいものの、自分の目指す到達点へいかに近づけることができるのかが、ビジネスパーソンが身につけるべき基本的な技術です。

1、説得の基本は、一緒に考えてもらうこと

「説得」には、とても大事な流れが存在します。

  • 問題提起
  • 自分にとってこの話を聞く事が必要だと思わせる
  • 起きている事柄に問題意識を持ってもらう
  • 考えさせる
  • 結論に誘導する

これらがその流れの大まかなポイントです。

頭から「こうしてください」と結論だけを押し付けてしまうと、その後の人間関係にも影響が及んでしまうことは明白。説得にかかる時間がもったいないと思ってはなりません。相手の心に寄り添う姿勢を見せることが大事なのです。

かといって、あまり時間はかけたくない。そのために役立つのが以下のテクニック。

2、結論だけを述べ、押しつけることをしない

「残業してくれ」、「代わりに客先に出向いてほしい」。これで相手を説得できるはずはありません。そこには「どうして」「なぜ」という理由がないからです。ピラミッドの日本型組織では、上司からこう言われれば従わざるを得ませんが、理由なしの依頼は、今やパワハラと呼ばれてしまうことすらあるでしょう。

きちんと理由を説明することは、どんな人間関係においても大事な事。電車の中でも見受けられる光景として「席を譲ってください」と目的だけを述べるのと、「席を譲ってください。すみませんが、私実は心臓を患っていまして」と理由をセットで伝えるのとでは相手の気持ちの動き方は全く異なるもの。

結論(目的)と理由はセットで、と覚えておいてください。

3、結論(目的)を先に述べ、今置かれている状況を後に補足説明する

結論から述べ、今置かれている状況を補足事項として伝える「ちょっとだけ残業してほしいんだけど」、「1週間で資料をまとめて欲しいんだよ」など、あなたの目指す到達点=結論から先に伝えてください。

「ああ、来週の会議までもう時間がないよな…」と今置かれている状況をくどくどと説明してしまうと、ただ単に愚痴をこぼしているとしか受け取られません。そのため、相手に「愚痴っぽい人」「いつもイライラしている人」「責任転嫁する人」と受け取られかねません。

順番を間違えないでください。「1週間で資料をまとめてもらえないだろうか。全員の動きを見ているとみんな手いっぱいのようだ。君の手際の良さを見込んで、できたら手伝って欲しいんだよ」これだと、相手の気分を害さずに受け入れてもらえる可能性が高まるはず。

あえてこれを逆にしてみると、こうなります。

「ああ、会議までもう1週間しかない…でも誰も手伝ってくれそうにないよな…。誰か資料まとめてしてくれないかな…。ああ、君でいいや、とりあえずやっておいてくれよ」

これでは、指名された人も気持ちよく手伝おうとは思ってくれないでしょう。失敗したら私のせいにされてしまうとさえ感じてしまうかもしれません。こうなったら、今後の人間関係もスムーズに進まないかもしれませんね。

結論(相手に伝えたい主題部分)が先、説明は後―鉄則です。

4、ハードルはちょっと高めにセッティングする

人間というもの、仕事に関してもサバを読むことは当たり前です。仕事の面でのサバ読みとは「不意な横槍仕事でやり遂げられなかったことを考えたら、ちょっと余計目に時間をもらっておきたい」という心理から当然の事。本当に1週間で仕上げられるだろうか、この課題は自分にとって大掛かりすぎないか、もうちょっと時間があれば気持ちよく受けられるのに。

それを先にこちら側(説得する側)で折り込んでおくのです。「君なら3日でできると思うけど、1週間見込んで大丈夫だよ」と提示してみるのです。ああ、それだったら引き受けても大丈夫か、と安心してもらえることでしょう。

これは、営業マンがよく使用するテクニックでもあります。50万円の契約を取りたいところ、最初から定価の70万円を先に示すのです。これは、相手が値引き交渉をしてくることを最初から折り込んでの事。

もちろん、最初から「20万円の値引きは可能です」とは言いません。(ここは社内での仕事のやり取りではオープンにしておくべきですが…)相手が渋った時に、「では50万円ではどうでしょう。これ以上は無理です」と伝えることで「20万円も値引きしてもらえるのか、この人も頑張ってくれてるんだな」と思わせることができます。

ハードルを少しだけ高く設定し、その後下げる。少し楽になるな、という相手の心理を引き出すためのテクニックです。

5、「あなたならどうする?」―一緒に考えてもらう

相手の意見を取り入れますよという姿勢を見せることで、相手にも「当事者」になってもらう方法です。その時に、その問題をクリアする際に必要な要件をきちんと提示すること。この要件提示がなければ、相手はただ単に客観的な意見を求められていると理解してしまい、チームワークは成り立ちません。

  • 期限
  • クリアすべき問題点
  • そのために使用できるリソース(時間・費用・人材)
  • 達成すべき事柄

これらをきちんと盛り込むことで、相手に一緒に考えてもらい、当事者意識を引き出します。こう相談されれば、受ける側も「頼りにされてるな」とちょっと気分も良いものでしょう。

更に、意見を出した人は自分の考えた事柄に対して「意見は出したけど後は知らない」とは言えなくなります。一部の意見しか取り入れられなくとも、一緒に考えた仲となれば、その事柄に対して全く無視はできなくなるという訳です。

ここで大事なのは、先ほど挙げた4つの要件を曖昧にせず、きちんと隠し事なく明かしてあげてください。相談=説得するには、信頼関係が第一です。

6、説得に応じてくれた際の「引き換え」を用意する

時には期日も間近で、上記の説得材料が確保しづらいこともあるかもしれません。そのようなときには、「アメ」を用意する必要があるでしょう。よく言う「次はちゃんと埋め合わせするから」、というあれです。チームワークで行う仕事は、ギブ・アンド・テイクが基本。お互い助け合いましょう、という姿勢を保ってください。

営業マンの場合は、次のように言うでしょう。「これ以上の値引きは難しいですが、納期を早めることはできそうです」「納期には少し遅れるかもしれませんが、一旦納品を始めたら御社分の納品分は必ず確保して他社さんよりも優先させます」

難しい要求を突き付けられた時、「これをすることで自分に何のメリットがあるのか」「一方的に手伝うだけになってはしまわないか」と考えるのは人の常でしょう。ギブ・アンド・ギブの精神を持った人は皆無に等しいもの。相談する側(説得する側)としても、相手が何かの時にはこちらも役に立ちたいという気持ちは、人として持っていたいですね。

ビジネスにおいてはとても大事な「アメ」。これを、急を要する説得の際には準備しておくことを心掛けるようにしましょう。

7、急がば回れ―相手の考えるペースに合わせる

急ぎの仕事の場合、説得する時間がもったいないと思ってしまうことも多々あるでしょう。ですが、ここで失敗すると、相手には「私にばかり横槍仕事が入ってくる」と思われてしまうリスクが発生します。どんどん仕事を頼みにくくなってしまうのです。

30分の説得で、1週間の期日の仕事を快く受けてもらえるかどうか―天秤にかける必要があります。「やらされている感」は、仕事の成果にもはっきり表れるもの。質の良い仕事をしてもらうためにも、結論を焦らせてはよくありません。

営業担当者の場合でしたら、本題である依頼(説得)からあまり遠くない話題で雑談をしながら、相手に判断させる時間を用意します。雑談の内容がお願い事から遠すぎると、緊張感が失われますし、「次までに考えておくよ」と逃げられてしまうことも充分に想定されます。

本題から大きく外れることのない話題(エンドユーザーはこう言っていますなどの情報提供をするなど)で興味のテンションを緩めることはしないようにしてください。

8、大事なポイントを伝えるときは、「ゆっくり」「ためる」「繰り返し」

声のトーンやテンポを変化させることで、本当に伝えたいことをきちんと伝えるように心がけてください。「急きょ決まったんだけど、○○しなくちゃならなくなってね」などのような、とても大事な部分んはテンポを落としたり、少し間をあけてから切り出したりすることで注目してもらえます。

また、会話の中で繰り返すことで、重要性を印象付けることも可能です。話し方のテクニックも大事なのです。

9、書類で伝える際に最も重要なテクニック―「流れ」

直接話すのであれば、相手の顔色をうかがいながら「わかってもらえていないな」と思えば補足的な説明は追加できますが、書類、特にプレゼンテーション用資料ではそうはいきません。

書類を作成する場合は、以下のような組み立て方が効率がよいはずです。

  • 主題(提案したいことをダイレクトに)
  • 現状の説明(市場の状況、その商品の立ち位置など)
  • 現状を打開するための解決策(複数あっても可)
  • その解決策を実現するための方法と、実現できる見込み(根拠)
  • 結論(解決策が複数あれば選択は相手に任せてもよい)

主題でまず危機感を持ってもらいます。

そして、その危機感はどこから来るのかを知ってもらうために市場の状況など外的要因を示し、解決策とその策を支える手法の説明をすることで、相手に選択権を与えます。提案≒相談≒お願い、と考えれば難しい事ではありません。

とかく、話し言葉と書き言葉は違うから難しいと思われがちですが、基本的な部分は変わりません。「○○して欲しいんだけど、期間が○日しかないんだよね。あの人とあの人に頼んで、機材もしっかり確保するからさ、是非頼めないかな」というのと何ら変わりはないのです。

大事なのは、伝える順番です。

先に挙げた順番で整理してみると、意外にすっきり片付きます。物事を側面ごとに切り分ける分析力が必要なだけです。その切り分けの作業さえ間違わなければ、先ほどの順番に当てはめることで基本的な資料は仕上がります。

付箋紙などを利用し、問題点をできるだけ多く書きだしましょう。それを、「市場」「社内体制」「期日」「費用」など、問題点となりそうな側面ごとに分類して行くだけでも、訴えるべきポイントがすっきり整理できます。

10、「説得」とは―相手の立場に立ち一緒に考えること

説得には、説得するだけの理由があります。「相手に自分の要求を飲んでもらうこと」―この一言に尽きます。ですが、要求を突き付けるだけではうまく行かないのは明白。問題点の共有、一緒に解決策を考えることで、その要求に少しでも近い理解を得られれば第一歩目は成功。ビジネスは、プライベートな人間関係と同様、「人対人」で出来上がっています。

ある調査では、仕事の約8割は「他の社員や外部の人など、自分以外の人とのやりとり」であるとのこと。仕事というものは、他の人の協力なくしては進まないのです。これを踏まえれば、いくら自分が正しくとも正論を振りかざして敵を増やすのは得策ではありません。

一緒に考えましょうというスタンスが一番最初に求められるのです。それでも、書くということは少々テクニックが必要です。これについては今後に期待下さい。