コンテンツマーケティングとは、「企業がユーザーにとって役立つコンテンツを発信し続けることで、新規顧客の集客やリピーターの育成などの目標を達成する」ためのマーケティング手法です。
軌道に乗れば、多くのコストをかけることなく集客できるようになるため、長期的に成果を出すビジネスモデルを作り出すには、いまや避けては通れません。
コンテンツマーケティングを始めるには、メリットとデメリットを理解したうえで計画を立てるとスムーズに進められます。
この記事ではコンテンツマーケティングの導入を検討している方に向けて、メリットとデメリット、そして実行に移すためのステップを紹介していきます。
コンテンツマーケティングのメリット
企業がコンテンツマーケティングを導入すると、以下の5つのメリットがあります。
- 資産として蓄積する
- 投資対効果がいい
- 企業のイメージアップに貢献
- 広告依存からの脱却
- リード獲得に貢献
順番に詳しく解説していきます。
資産として蓄積する
ホームページへの集客を考えるときには、Web広告を活用すると即効性があります。とくに検索連動型の広告は、検索結果の上部に表示されるため購買意欲の強い見込み客を、効果的に集客が可能です。
しかし広告は出稿し続ける限りコストが発生し、出稿をやめればその瞬間から集客もストップしてしまう一過性のものです。
一方コンテンツマーケティングでは、自社ホームページなどへ継続的に記事を投稿していく必要がありますが、発信する情報のすべてが資産としてストックされていきます。
記事を削除しない限りはWeb上に残り続け、アクセスが発生するようになれば、長期にわたって集客し続けてくれることがメリットです。
投資対効果がいい
Web広告に出稿した場合、1クリック(=ユーザー)集客するのにはおよそ100円かかるといわれています。1カ月に100ユーザー獲得するためには、毎月1万円の広告費が必要です。
対して1本5万円かけてコンテンツを1本制作し、毎月100ユーザーの集客できたとすると、1万円分の広告と同じ効果があるといえます。制作費にかけた5万円を回収するのに5カ月かかりますが、それ以降は無料で集客し続けます。
たとえば検索5位だった記事が2位、1位と検索順位が向上すれば、月に200ユーザー、300ユーザーとさらなる集客につなげることも可能です。
このように、広告と比較して費用対効果が高いことも、コンテンツマーケティングのメリットです。
企業のイメージアップに貢献
コンテンツマーケティングでは、自社の専門分野に関する記事を投稿し続けるのが一般的です。同じ分野に良質なコンテンツを公開し続けると、その分野に興味を持って検索行動を行うユーザーとの接触機会が増えます。
目にする機会が多いものには親近感を持つことを、心理学では「単純接触効果」と呼び、マーケティングにおいても高い効果があるされています。ユーザーが「またこの会社のブログだ」と親近感を覚え、さらにそのコンテンツが悩みを解決する良質なものであれば、好感を持つようになることが、接触機会が増えるメリットです。
専門記事に特化して記事を公開し続けると、自社サイトの価値を表す「ドメインパワー」が上がることもポイントです。ドメインパワーが強くなると検索結果でも上位表示されやすくなり、「この会社の記事はいつも上位に表示されているな」とユーザーの企業に対するイメージアップにつながります。
企業イメージがよくなれば、最終的に商品やサービスを比較し購入を検討するときに、選択肢に入れてもらえる可能性が高くなるでしょう。
広告依存からの脱却
Web広告は集客に即効性がありますが、高騰し続ける広告費に頭を悩ませている企業は少なくありません。費用対効果があわなくなってきているため、事業を安定させるためには広告以外の集客経路を開拓していくことが必須です。
ユーザーが望まない形で広告を配信する「プッシュ型」の営業手法は、多くのユーザーが拒否反応を示すようになりました。動画の前に興味のない広告を見せられる、記事と思ってクリックしたら広告だったなど、不快感を覚えたことがありませんか。Web広告は場合によってはユーザーにマイナスのイメージを与えてしまう可能性すらあるのです。
いままで広告を中心とした、プッシュ型のマーケティングに依存してきたのならぜひ脱却をめざし、コンテンツマーケティングによる自然流入にシフトしていきましょう。
リード獲得に貢献
コンテンツマーケティングは、ユーザーの興味にあったコンテンツを用意し、ユーザーの能動的な検索行動によって「見つけてもらう」ことを目的としています。そのためコンテンツに流入したユーザーは、その時点で自社の商品やサービスに一定の関心があることが期待でき、良質なリードを獲得できる確率が高いことがメリットです。
たとえばブログにホワイトペーパーのダウンロード導線を設置すれば、「この企業のコンテンツを今後も読みたい」「商品やサービスについてもっと詳しく知りたい」と考える見込み客の情報を入手できます。
良質なリードが獲得できれば、継続的にコミュニケーションをとりナーチャリングすることで、優良顧客を増やしていけることもポイントです。
コンテンツマーケティングのデメリット
投資対効果が高い、良質なリードが期待できるなどメリットが多いコンテンツマーケティングですが、デメリットもあります。導入に際して知っておきたいデメリットは、以下の2つです。
- 効果が現れるまでに時間がかかる
- 良質なコンテンツを継続的に公開し続けるリソースが必要
順番に説明していきます。
効果が現れるまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングはWeb広告のように即効性はなく、効果が現れるまでに時間がかかる施策です。コンテンツを投稿してから検索エンジンの評価を得て上位表示されるまでに大体3カ月、新規ドメインの場合には長ければ半年や1年と、長い期間がかかります。
コンテンツマーケティングが中長期の施策であることを、上司や経営陣が理解していないと、「1カ月たってもなんの成果も出ないから中止しよう」と間違った判断をされてしまうかもしれません。コンテンツマーケティングを始めるときには、施策のメリットや特徴を、しっかりと説明しておくことが重要です。
良質なコンテンツを継続的に公開し続けるリソースが必要
コンテンツマーケティングでは、継続的にコンテンツを増やしていくことが大切ですが、ただやみくもに記事を増やせばいいわけではありません。コンテンツはユーザーにとって価値がある、良質な内容のものを作成する必要があります。
良質なコンテンツとは、検索ユーザーの悩みを120%解決して満足を与え、その企業に感謝さえするようなものを指します。しかしそのような質の高いコンテンツを継続的に公開し続けるのは、簡単なことではありません。
良質なリードが獲得できるような、質の高いコンテンツを制作するにはノウハウが必要です。自社にリソースがない場合には、外部への委託も含めて予算を確保することを検討する必要もあるでしょう。
コンテンツマーケティングを始めるためのステップ
コンテンツマーケティングで効果的に集客するには、ユーザーのニーズに応えるコンテンツを制作するためにしっかりと戦略を練ることが重要です。トラフィック増加につながるコンテンツを制作するためには、以下の3つのステップで進めます。
- ペルソナの設定
- 検索キーワードの検討
- 各検索キーワードに優先度をつけてコンテンツを公開していく
順番に解説していきます。
1.ペルソナの設定
Webサイトで成果を上げたいと考えると、とにかくトラフィックを増やしたいと考えがちです。しかし最終的にコンバージョンにつながらないユーザーばかり集めても、あまり意味がありません。コンテンツマーケティングを成功させるには、ターゲティングを適切に行い、情報を届けたい相手にコンテンツを見てもらうことが大切です。
そのためにはしっかりターゲットを絞りペルソナを設定し、その思考や行動特性に基づいたコンテンツ作りをする必要があります。自社の顧客になりうる人物のペルソナを設定するには、
- 年齢
- 性別
- 居住地
などの基本情報だけではなく、
- 抱えている悩み
- サイトにたどり着いた経緯(検索?SNS?広告?外部メディア?)
などもできるだけ細かく設定します。
BtoBの場合には、さらに
- 役職
- 決裁権の有無
- 勤続年数
- 所属部署と所属歴
- 担当事業の抱える課題
- 業績
- 資本金
- 会社名
など、ビジネス的な属性やビジネス自体の課題を重視して、ペルソナを作り込んでいきましょう。
ペルソナを設定したら、カスタマージャーニーマップを作成し、
- 情報収集フェーズ(どんな製品があるのかも具体的にわかっていない)
- 比較検討フェーズ(どんな製品があるのか、製品ごとの違い、自社に合うものを探している)
- 購入フェーズ(製品を決定し、購入を決める)
- リピートフェーズ(すでに何らかの製品を導入中、または導入したことがあるがリプレイスを検討)
の各フェーズにおいて、ペルソナがどのような悩みを抱えるか、どのような行動を取るかを洗い出していきましょう。
2.検索キーワードの検討
1で設定したペルソナが、各フェーズにおいて具体的にどんなキーワードで検索するのかを検討し、書き出していきます。
検索キーワードの選定は、コンテンツマーケティングではもっとも重要な作業になります。ペルソナに設定したユーザーが求めるコンテンツを提供するためには、そのニーズに合致したキーワードに基づいて、記事を制作する必要があるためです。
Google Search Consoleを活用すると、サイトが表示されている上位の検索クエリ(ユーザーが検索するワードやフレーズ)を確認できます。実際にユーザーがどのような悩みをかかえ、どのようなクエリで検索してサイトを訪れているのかを調べてみましょう。
効果的なキーワードで良質なコンテンツを制作しなければ、結果的には検索上位に表示もされず、サイトへの流入も得られません。ツールは積極的に活用し、キーワードの選定を進めてください。
3.各検索キーワードに優先度をつけてコンテンツを公開していく
2で検討したキーワードの「検索ボリューム」「競合度」「自社にとっての重要性」を軸に、優先度をつけてコンテンツを制作して公開していきます。検索ボリュームや競合度は、キーワードプランナーや、ahrefs(エイチレフス)、Ubersuggest(ウーバーサジェスト)などのツールを用いて調べましょう。
検索数が0のようなキーワードでは、上位表示されても流入は見込めません。かといって1万以上あるビッグキーワードでは、上位に食い込むのは難しくなります。同様に競合度が高ければ上位化は難しく、思うような検索流入は得られません。
フェーズごとにキーワードを検討したら、自社にとって重要度の高いフェーズについて優先順位を高く評価し、コンテンツを制作・公開していくようにしてください。
まとめ
コンテンツマーケティングを実施する前に知っておきたいメリットデメリット、そして具体的な進め方を紹介してきました。コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって役立つコンテンツを提供することで、
- 投稿した記事が資産として蓄積される
- Web広告と比較して投資対効果が高い
- 良質なリード獲得が期待できる
など多くのメリットが得られます。
一方良質なコンテンツを制作するためには、ペルソナ設定、キーワード選定などしっかりとしたノウハウが必要です。自社のリソースが不足している場合には、外注も含めて導入を検討するのがおすすめです。