SNSは、コンテンツマーケティングと相性がいいことが知られています。SNSの拡散性と即時性を利用すれば、コンテンツマーケティングを加速化させることが可能です。
日本国内でのSNS利用者は年々増加していて、ICT総研の「2020年度SNS利用動向に関する調査」によると、2020年末には7,975万人に達するといわれています。勢いを増し続けるSNSがコンテンツマーケティングの運用に効果的な3つの理由と、とくにおすすめのSNSを4つ紹介していきます。
コンテンツマーケティングにSNSの運用が効果的な理由3つ
コンテンツマーケティングを実施するときに、SNSを併走させると効果的といわれる理由は以下の3つです。
- コンテンツの拡散に役立つ
- 効果が早く現れる
- リピート訪問者を増やせる
それぞれを詳しく解説していきます。
コンテンツの拡散に役立つ
そもそもコンテンツマーケティングとは、見込み客にとって課題の解決につながる質の高いコンテンツを継続的に公開することにより、自社に対する認知や興味を獲得するマーケティングの手法です。そのため最終的に売り出したい商品はもちろん、コンテンツそのものの質が問われます。
SNSがコンテンツマーケティングと相性がいいといわれる理由のひとつに、その拡散性の高さがあります。質の高いコンテンツはSNSで拡散されやすいのです。
その理由としてSNSでは、自身のフォロワーに対して自分が知った知識を共有したいという心理が働きます。質の高いコンテンツをシェアすれば、それが自分の評価にもつながり、オピニオンリーダーのような立場を得てフォロワーを増やせるためです。
自分自身で意見を述べることなく、「私が言いたいことはここに詳しく書いてあるから読んで見て」といえるような、質の高いコンテンツがSNSでは求められています。
効果が早く現れる
コンテンツマーケティングは、新規顧客の獲得、リピーターの育成のどちらにも効果がある施策ですが、唯一ともいえるデメリットが、即効性がないことです。Googleに認知され、検索順位が上がって効果が出るまでに、最低でも3カ月〜6カ月と長い時間がかかります。
検索経由でのアクセスが発生するまでなかなか成果を感じられないため、「コンテンツマーケティングに取り組んでも成果が出ない」と判断し、早々に施策を打ち切る企業が少なくありません。そんなコンテンツマーケティングのデメリットを、補う手段のひとつがSNSです。
SNSは拡散性に加え、即効性があります。コンテンツを更新しSNSで発信すれば、早ければほんの数時間で数百、数千人にいいねやシェアされる拡散スピードは圧倒的です。
検索による自然流入が発生し始めるまでのタイムラグを埋めるのに、SNSは適しています。
リピート訪問者を増やせる
コンテンツに一度でも接触してくれたユーザーは、将来顧客になる可能性が高いため、タッチポイントを多く持つことはコンテンツマーケティングにおいて重要です。
ブログにSNSアカウントのフォロー導線を設けることで、「この企業の情報を今後も受け取りたい」と思った見込み客がフォローしてくれます。
このようにして一度タッチポイントをもった見込み客と、SNSを通して継続的な関係を持つことができるのです。
また、見込み客が企業が発信するコンテンツに継続的に接触し続けると、見込み客の満足度が上がります。見込み客の満足度が上がると、企業に対するエンゲージメントも高まります。エンゲージメントが高まるとは、企業とユーザーの結びつきが強くなることを指しますが、それはつまり「ファン化」を意味します。
ファン化が進むと、やがてコンテンツやひいては商品のリピーターとなることが期待できます。また自らその商品やサービスについて好意的な口込みを拡散する、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出してくれることもメリットです。
コンテンツマーケティングにおすすめのSNSは?
コンテンツマーケティングと相性がよく、導入すると大きなメリットがあるSNSには、多くの種類があります。その中でも、コンテンツマーケティングにとくにおすすめなのは以下のSNSです。
- Twitte
- YouTube
- LINE
今回は上記に加え、番外編としてメルマガを加えた5つを紹介します。
公式アカウントの発表によると、Twitterは2017年10月時点の国内におけるアクティブユーザーが4,500万人超のSNSです。総務省の調査では、とくに10代〜20代、30代までの比較的若年層での利用率が約70%と高いこともTwitterの特徴です。
Twitterには匿名で利用できる気軽さと、リツイート機能などによるほかのSNSとは比較にならないずば抜けた拡散力があります。ツイートがバズれば一気に認知度を高め、コンテンツへ流入させることが可能です。
BtoBの場合、最近では企業の公式アカウントに加え、中の人が実名でTwitterを運用するケースも目立ってきました。プロフィールに企業名を入れ、公式Twitterでは出せない親しみやすさ、柔らかさを担保できることがメリットです。
BtoCの場合は、「シャープさん」に代表されるいわゆる「軟式アカウント」が多く見られます。企業だけれども「中の人」の個性を感じられる人間味があり、Twitterにあったネタやリアクション、自由な発言やアイデアを投稿することで多くのフォロワーを獲得しています。
Twitterで企業アカウントを運用するときには、一方的な情報伝達ではなく、双方向コミュニケーションを色濃く印象づけることがポイントです。
Facebookは2019年4月時点で、国内月間ユーザー数が2,600万人のSNSです。総務省の調査によると、20代〜50代では約30%〜50%で利用されています。
オワコンといわれることもありますが、ビジネス目的の利用においてはまだまだユーザー数が多いSNSです。実名利用が基本とされているため、ほかのSNSと比較すると炎上しにくい特徴があります。また比較的長文での投稿が許容されることも、ビジネス向きといわれる理由のひとつです。
Facebookでは、有人や知人とつながることを目的とした利用が中心であるため、年齢や性別、居住地などがプロフィールに正確に登録されている確率が高いこともポイントです。Facebookでフォロワーを増やすことはもちろん、セグメントを絞り込んだ精度の高い広告を出せば、効率よくターゲット層にアプローチできます。
やや高めの年齢層をメインターゲットとして、炎上リスクを抑えつつ、有益なコメントを集めたい企業には、Facebookの利用をおすすめします。
YouTube
グーグルジャパンは、YouTubeへの2017年の国内における月間ログイン視聴者数は6,200万人に達したと述べています。YouTubeは総務省の調査結果によると、全年代平均で約76%が利用しており、年代を問わず広く使用されていることが特徴です。
コンテンツマーケティングにYouTubeを活用するメリットは、その情報伝達量にあります。1分間の動画が伝達できる情報量は、WEBページに換算すると3,600ページ分に匹敵するといわれるほどです。
テキストや静止画では伝えることが難しい多くの情報を、ターゲットに対して提供できるコンテンツを制作できるという点で、コンテンツマーケティングのコンテンツ自体としても優れています。
またYouTubeという巨大なプラットフォームにアップロードすることで、これまで自社と接触機会のなかったユーザーにアプローチできることもメリットです。
BtoBにおいても、自社の会社概要や沿革をわかりやすく配信する、製品やサービスについて検討している決裁者に向けて事例紹介動画を公開するなどで信頼を得られます。
多くの人が日常的に動画を見るようになり、なにかを詳しく知りたいと思ったとき、動画が選択肢に入るようになりました。YouTubeの積極的な活用は、コンテンツマーケティングにおいて、これから必須になるでしょう。
LINE
LINEの公式発表によると、月間アクティブユーザー数は、2020年6月末時点で8,400万人超とされています。総務省の調査でも、全年代通しての利用率が約87%と非常に高いことが特徴です。LINEは個人やグループでの連絡手段として用いられることが多い点が、ほかのSNSとは異なります。
企業では、LINE公式アカウントを開設しての集客が考えられます。ブログとLINE公式アカウントの間に双方向の導線を引き、消費者と接点を持つといいでしょう。
LINE公式アカウントには多くの機能が備わっています。よくある質問のキーワードに対して返答してくれる自動応答やキーワード応答機能のほか、オプション機能を導入すれば、チャットボットの利用も可能です。パーソナライズされたOne to Oneコミュニケーションが取れるため、顧客満足度を上げることにもつながります。
ECを実践する企業であれば、BtoCに限らずBtoBでも、LINE上で手軽に製品の販売や予約、事前注文などから決済まで受け付けられることもメリットです。
LINEにおいてもFacebookと同様に、ユーザーの登録情報から年代や性別、地域にあわせ、セグメントを絞り込んだ広告を配信できることもポイントです
【番外編】メルマガ
SNSではありませんが、メルマガもコンテンツマーケティングには有効です。ブログの訪問者にメルマガ登録してもらえれば、ブログへの再訪を促せます。継続的に見込み客と接点を持つことになるため、購入のタイミングで比較検討の選択肢に入れてもらえる可能性が高まります。
また新しいコンテンツを公開したとき、メルマガで既存顧客に配信すれば、SEOで効果が出ていない期間でも、コンテンツへの流入を確保できることもメリットです。そこで読んだコンテンツの質がよければ、以降のメルマガの開封率や読了率が向上し、ひいてはCVにつながることも期待できます。
コンテンツマーケティングの施策としてメルマガを取り入れるには、ユーザーのメールアドレスを収集しなければなりません。しかしタダでメールアドレスを提供してくれる人はいないため、ホワイトペーパーなどの有益なコンテンツを用意し、プレゼントと引き換えに情報をもらうなど、工夫する必要があるでしょう。
SNSを活用するときには属性を見極めることが重要
SNSをコンテンツマーケティングで利用するときには、自社のターゲットにあった属性のものを選ぶことが重要です。
たとえばTwitterは拡散力に優れていますが、年齢層が低めであるため、ターゲットとしているユーザーの年齢層が合致していなければ望んだ結果を得られないかもしれません。40代以上がターゲットであるなら、TwitterよりもFacebookのほうが利用率が高く適しています。
自社のブランドイメージによっても、選ぶSNSは違ってくるでしょう。高級な商品、固いイメージの業界であれば、やはりTwitterよりはFacebookが向いています。
選択するSNSによっては、成果が出ないどころかかえって企業イメージを損なう可能性もあるため気をつけましょう。
まとめ
コンテンツマーケティングは、効果が出るまで時間がかかる中長期の施策です。そのデメリットを補うためには、SNSを運用するのが効果的です。SNSを活用すると、以下のようなメリットがあります。
- 速報性と拡散性を利用した認知とコンテンツへの流入の増大
- ユーザーのファン化によるリピーターの育成
SNSはそれぞれ特徴が異なるため、自社の目的とイメージに合致するものを選ぶことも大切です。SNSを活用し、コンテンツマーケティングを効果的に実践しましょう。